MUSICUS! 4周目(三日月ルート)
なかなか良い順番なんじゃないでしょうか
ルート順は、バッドエンド→弥子→めぐる→三日月。
本作のメインヒロイン…というか扱いが一番大きいのが三日月だと思っていたので、扱いの大きい順に読めた気がして満足度が高い。
弥子ルートでは学校生活を彩るバンド、めぐるルートではインディーで楽しく続けるバンドだったのに対し、三日月ルートではバンドを売る・音楽をやることの理由・意義にフォーカスが当たる。
馨の生活を追うシーンもそこそこ長く、共通ルート時点での私なら文句を言っただろうけどここまでプレイした身としては馨らに親しみを覚えているので好ましい。
イチャラブが†効く†
選択肢としては、音楽をやる、売りたい、三日月を手放さない…みたいな道を選んでいけば特に問題ナシ。他ルートと同じく、ルート確定後は選択肢が無い一本道。
倫(メフィスト)も出てくるし、三日月の取り合いラブラブストーリーが展開されるかと思いきや、三日月が馨にベタベタしてきて争いが起こらなかったのでワロタ。
ほとんど両片思い状態だしセックス待ったなしだな!と思っていたけど意外とセックスが遠かった。各ルート1セックスでしたね。
三日月を知る、バッドエンドを知る、何も知らないままだった
売れるほど三日月が調子を崩すのは予想通り。かといってメジャーを降りてインディーに戻るのが良い道だとは思えないし、セックスでケアしても本質的な解決ではない。
周囲から自殺を望まれている、と感じるほど追いつめられた三日月の独白は胸に迫るから、セックスでのケアが仮初に見えても救いは救いだから…と縋りたくなる。
急転直下、運命からの冷や水
でも、馨と三日月が恋人になって同棲を始めて、釈然としないながらも安定した状態に物理で冷や水を浴びせかけられるからびっくりしちゃったな。冷や水っていうかアシッドアタックだし。
もうひとつドラマを作るならパパラッチとか…?と思っていたけど、アーティストの、しかも同バンド所属の独身者の恋愛なんてすっぱ抜かれたところでダメージはそんなに無いんだよな。予想(週刊誌にすっぱ抜かれる)を超えたアシッドアタックにめちゃくちゃビックリしちゃった。
何より性格が悪かったのが、アシッドアタックを食らう三日月のスチルが美人なこと!無傷の顔に残された一瞬を美しく描くことほど残酷なことはないですよ……本当に最悪で、今思い出しても嬉しくなってしまう。スチルの使いどころ、分かってるジャン。
バッドエンドでの死に顔もそうだけど、傷を負った三日月の顔を克明に描けたのもアダルトゲームならではかもしれない。本当に辛いんだけど、馨や三日月の感じた辛さをプレイヤーにも渡してくれたのは嬉しい。
そして、その後の三日月の独白がかなり良い。白眉と言っても良いくらい感情移入した。
三日月の言い分がかなり分かるので、ここは本当に悲しかったし胸に迫るものがあった。報われない人、恵まれない人をなるべく多く助けようとして有名になったとしても、有名になったらそれがまた彼らの影を深めるジレンマ……本当に辛いよな。
音楽はかすがいではなく
アシッドアタック以降、音楽を介さない繋がりを求めた馨と三日月が、恋愛で繋がろうとするも最終的には音楽を求める。
最初に戻ってきたようにも見えるものの、インディーで燻ったり恋愛をやったりしないとこの結論には至れなかっただろう、と確信が湧く。婚約は破棄され、馨と三日月の恋愛関係が終わる結末にはある種の潔さがある。
恋愛関係って親愛の極みとして扱われることがあるので、恋愛関係の終わり=関係のランクダウンと取られかねないのだけど、そう受け取られない話運びだったのは好感が持てる。
私は恋愛アドベンチャーゲームをたくさんプレイした方ではないせいである種の偏見、「恋愛アドベンチャーゲームって交際してセックスできる状態で安定したらエンディング」と思っていたところもあるのだけど、そうじゃないのに円満な形が見られたのは新鮮味が強くて心に残った。
CGリストもすべて埋まったので、おそらくMUSICUS!はこれで完結です。
詳しいことは後で書くけど、満足度は高い。公式サイトによると本作のジャンルは「ロックンロールADV」ということで、恋愛を謳っていないところも含め納得感が強くて良かったです。