映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の感想です(原作含めネタバレ有)
原作は数年前に読了。
面白い作品+映画化の予定があるとは聞いていたので楽しみにしていたのですが、2014年夏についに映画化になった作品です。
公開当初は観に行けなかったのですが、面白いという噂は聞いていたのでDVD化を待って視聴となりました。
原作から変わった点は多いものの改悪というわけではなく、面白かったです。
戦闘シーンの力強さがとにかく印象的で、動画である映画ならではの魅力だと思います。
原作は戦闘の疾走感や熱さがあまりなかったので、同じストーリーでありながら受ける感じが変わっています。
ループの特性を活かす「失敗して死亡するシーン(腕立て伏せ→車に轢かれる)」「成功して生き延びるシーン(腕立て伏せ→車の下を通る)」を続ける所も面白く思いました。
小説の原作と映画の本作。
表現方法が違う以上原作の改変は必要ですが、原作にあったグリーンティーの会話が無くなったのは少し寂しかったです。
原作のあの会話はシチュエーション的にやや不自然ですし、そもそもケイジの国籍が日本人ではなくなっているので無くすのは妥当な判断ですが、あのくだりは原作では心に残っていたので寂しかったです。
映画が初見であれば無くても良いと思える範囲のことではある気はします。
それよりも残念に思った原作改変があるとしたら、ラストシーン。
原作では次の時間に進むためにケイジとリタが戦う→ケイジがリタを殺し、次の時間へ……というストーリーなのですが、映画ではオメガを殺して再ループ、ケイジがリタと再会してENDになっています。
リタを殺して生き延びることを選ぶケイジの悲愴感がある決意が丸ごとなくなっているのは残念でした。読後・視聴後の気分が良いのは映画版ですが、あの後味も含めてこの作品だと思っているのでそのままで作って欲しい所でした。
原作を読んだ上だったので話はおおむね理解出来たのですが、改変されていることもあってラストシーンがよく分かりませんでした。
オメガ撃破後も再ループした上、ループ地点が今までとは全然違う意味が私には分からなかったです。単純にハッピーエンドにするためにそうした、ということなのでしょうか。
○総評
原作と違う所も多くある作品でしたが、全体的には非常に良い映画だと思いました。
少なくはない原作からの改変箇所も、小説と映画という表現媒体の違いからやむを得ないと思えるものばかりだと感じました。
ラストシーンは残念に思えたものの、改変の意図は分かりますしね。
アクション映画としても面白いので、原作を知っているか否かを問わずに観て欲しい作品です。
ところでギタイが「魔人と失われた王国」というPS3ゲームの敵の外観と似ているなと思いました。
原作ではギタイの挿絵がなかったので、敵がどんな姿形かが分かりやすく嬉しかったです。