るーむ私記

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【本】病院で死ぬということ(山崎章郎) 感想

病院で死ぬということ」(山崎章郎著)の感想です。

 終末期医療や尊厳死に興味があるので読みました。

 単行本の刊行は1990年ということもあり、内容としてはかなり古いものでした。
 現在の日本のガン告知率は七割近くあるのですが、執筆当時はかなり低く、患者の希望があっても告知はしないというのが一般的だったようです。
 今ほど告知率が高くなく、またQOLの重要性も低いとされてきたようです。

 著者・山崎さんは告知に賛成の立場を取る方なので、語られるエピソードは「癌でない病気を告知するが、弱る一方の自分に不安を覚え、病院への猜疑心を募らせる」「癌の告知をしてもらってから心が穏やかになり、安らかに死ねる」というものがほとんど。
 実際に有り得たことなのだとは思うのですが、亡くなられた患者さんの心情を克明に綴るようなエピソードが多いため、「捏造では?」と思ってしまう所がしばしばありました。

 私のように終末期医療・尊厳死・QOLといったことに興味のある一般人が読むより、医療従事者に読んで欲しい類の本かなという印象を抱きました。
「喉にチューブを通す練習をもうすぐ死ぬ患者でやる」というエピソードや、「延命することが正しいとは限らない」という言葉。
 現在医学部に所属されている方の話を聞く限り、そういった授業を受けてはいるようなのですが、それでも大事なことなのでこういう本は積極的に読んで欲しいです。

 何やら続編が出ている模様。それも1996年刊行と古いようですが、いずれ読んでみたいです。