「危ないお仕事!」(北尾トロ著)の感想です。
「怪しいお仕事!」は発売直後に読んでいましたがなぜかこちらは未読のままでしたので、読ませて頂きました。
内容としては怪しいお仕事とそんなに変わらない、色々なお仕事の取材をしたり踏み込んだりする内容。
全てのお話の前に福満しげゆきさんの1ページ漫画が添えられているのですが、私としては漫画はいらなかったなぁ、という感じ。
最初の万引きバスターの漫画はちょっと面白かったけど、他のはそこまで面白くもなかったです。最後の方はもうただの感想になってるし、「ただの感想になっちゃった」ネタが2度も続くのはどうかなと思いました。
●万引きバスター
誰もが経験のある犯罪=万引き、という決めつけから始まって、読み始めて早々に微妙な気持ちになる。
確かに経験者はかなりの数に上るし、万引きが当然というコミュニティがあることも知っている、けど、私は経験がないし、経験のない人達も大勢いる。
そして何より、万引きは誰もがやったことがあると書いてしまう北尾さん、その文章を通した編集の方などの品性ってどうなってるの? と思ってしまいました。犯罪自慢格好悪い。
「怪しいお仕事」「危ないお仕事」はマニアックな職業を取材する内容だと思っていたので、万引きバスターが出てくるのはちょっと意外でした。てっきり知名度のあるお仕事かと。
内容としても新規性は低かったです。
●探偵
逆にこっちは新鮮に感じました。
不倫調査の詳細についてではなく、尾行のコツですね。
女性は足首、男性は肩を見ると変装しても気付きやすい、相手が尾行を警戒して振り向いても目が合わない……というのは納得。
●警察マニア
仕事じゃないよね???
という突っ込みは野暮ですが、やっぱりどうしても言いたい。
内容としてはそこまで……警察マニアという存在は知りませんでしたが、目新しいことはなく。
あと、最近Twitterでレイバンのサングラスを勧めるBotが流行しているので、『レイバンのティアドロップ型サングラスをかけた~』の文章にちょっと笑った。
●超能力開発セミナー
これは面白かった。取材ではなく潜入です。
宗教組織というのは独特の空気があって、そこに呑まれると金銭感覚が壊れるのですよね。すごく怖いことです。
「私は神ではない」「分かってない人には言わないこと」あたり、かなり上手くやっているセミナーだなと思いました。
●カモリ屋
タイの法律はそれで大丈夫なのだろうか……。
●メルマガライター
これも特に心には残らない。
福満さんの漫画が本格的にうざいなー、と思い始めていたのは覚えています。
●風俗専門店
風俗は探しているとやっぱりデリバリーが多いなあとは思っていたのでからくりが分かってちょっと納得。
興味が惹かれる内容ではありませんでした。
●主婦モデル
お仕事の内容はともかくとして、このモデルさんの経歴が凄い。
19歳大学在学中に出産→35歳の夫と結婚→在宅モデル等で儲けるって。しかも娘さんもお母様のお仕事知ってるって。どうなの。
底辺(と言うほどの困窮ではないけど)の輪廻を垣間見た気がしました。
●裏人形師
ダッチワイフって言葉に時代を感じますね。今はラブドールという呼び方が主流な気がします。
とはいえ、割と既知の内容を裏から見れる感じで楽しかったです。伊集院腱くん懐かしいなぁ。
●汁男優
AV女優・男優・スタッフ等の仕事内容も最近は公になってきているので、そういう意味では新鮮味はありませんでした。復習程度にはなっただろうか。
精液が勿体ないから自慰をしない、にはちょっと笑った。
心身を使う上演技も少しは必要となると、大変なお仕事ですね。敬礼。
●新聞拡張団
契約が毎日数本取れる人がいる、というのにまず驚き。ああいうのってダメ元だと思っていました。
ちなみに私は日中不在なので拡張団の方とお会いしたことはありません。多分来てもドアは開けないと思いますが、夏や冬は地獄なんでしょうね……。
●容疑者列伝
北尾さんの裁判傍聴の本を既に読んでいたので、それの出張版みたいな印象。
「裁判長!」シリーズでも読めば良いんじゃないでしょうか。
●総評
北尾さんの著書全般に言えることですが、好奇心がちょっとだけ満たされる、ごくごく軽い読み物。
忙しい方が時間を割いて読むほどの価値はないと思うものの、ちょっと時間を潰したいくらいなら良いかもしれないです。