ゲーム内の時間で言うと、本編クリアが1年目の冬土の節(経過日数100日ほど)。
日数の経過がメインストーリーに影響しないので、ゆっくり進めても早めに終えてもOK。逆に早めに進めて夏に本編クリアも夢ではなさそう。
美しい四季があるファンタジー世界での生活と、ガチなSFが好バランスで組みこまれている名作。生活要素だけでなくSFやスケールが大きいストーリーが好きな人にも強くお勧めしたい。
レーテの村に入る時にエラーで強制終了するケースが何度かあったので、レーテの村に行く前はセーブ推奨です。
以下ネタバレあり。 【ストーリー】
序盤は比較的スローライフなんだけど、4話以降は見えていた世界が大きく変わって怒涛の展開が続く。
「そういうもの」だと思っていたものがひっくり返されてファンタジー世界はSF世界に変わり、キャラクター達を眺めていたプレイヤーもカイン種族とアベル種族の選択に引っ張り出されて決断を迫られる流れは圧巻の一言。
一定のタイミングでカタカナ用語が頻出するようになるので混乱するものの、物語が終わる頃には理解が及ぶようになるのは良いバランスだな~と思いました。
~3話と4話~で雰囲気が変わって、3話まではファンタジーが取り入れられたリ・ガイア世界の人々と各シーズライトをめぐる物語が展開される。
スローライフな側面は強いものの物語として退屈なわけではなく、失うことの悲しみやすれ違いなども大きく描かれるのが好き。
クエストも基本はハッピーエンドだけど大団円ばかりでもない。余韻があったり切なかったり、悲しい中にも前向きな話が多くて読みごたえがあって好き。
【グラフィック】
まず2Dイラストは好み。レーテの村の武器屋のお婆さま以外は年齢・性別の書き分けも問題なく、立ち絵の表情も良い感じ。メカ(ディアンサス・ガイスト)とか動物(ユニコーン)もいるけど見た目に違和感がなくて嬉しい。
お婆さまは若い顔に皺足しただけ感が強くあまり好きじゃなかった。
メッセージウインドウに出る顔で特に好きなのはクレスの怒り顔とハイネの笑顔。ハイネの笑顔、あんな無邪気で可愛いことあるか……?好きです。
あとはキャラデザに違和感がなかったのは嬉しかった。
性格や生活に沿った服装や髪型だったという意味です。サバサバしたところのあるシュリカはショートヘアで装飾がなかったり、アリアは活動しやすそうだったり。
素材や食材はシンプルなぶん、出来上がった料理にぱっと目を惹くところがあったり、ヌシをはじめとする魚たちも色とりどりで魅力的だった。
3Dグラフィックは体験版プレイ時から言っているようにもっと肌色は白くしたかった。影が落ちても白いくらいが理想。
主人公のキャラクリエイトが半端だったのは気になっている。選択肢が少なかったのでもうクリエイト要素を省いて男/女の選択だけで良かった気もする。
モーションも問題はなく、好みの話で言うと指パッチンは嫌いだった。意外と頻出なのと、小さい女の子(ミリカ)とかもするのが違和感がある。
【生活】
必要なものは大体揃ってる。水くみが不要なのはありがたい。
クラフト・料理にかかる時間も妥当だと思う。
果樹の植え替えができないのは不便だった。クワで苗に戻せるとかあれば便利だったと思う。
あとは各種製造機・果樹の植え替え用に俯瞰で見れるモードがあればもっとやりやすかったかも。ただこれをやるとファンタジー感が薄れて世界観がやや損なわれるので、なくても良かったのかも。
【BGM】
良い音楽だな~~と思いながら過ごしていた。牧歌的できれいなリ・ガイア、寂しさが強いロストガイアと使い分けが出来ているのもすごく好き。作曲家の椎名豪さん、音楽に疎い私でも知っている方だった(アイドルマスターつながり)のだけど流石ですね。
【バトル・ダンジョン】
回復アイテムが乏しい序盤はメイジ一択がお勧め、あとはお好みで。
私は回避が苦手なので後衛職(メイジ・ルナマンサー・アリストテレス)をよく使っていた。銃は前後のモーションがちょっと重くてあまり使う感じではない。
自分が強くて相手が弱い場合は近接のファイター・サムライあたりでスパっとやっちゃうのが楽。
敵も気付いたら迫ってくるけど振り切って逃げることも可能なバランス。敵によって動きの速度に差はあるけど逃げ切りは可能。
逃げ切った後は敵はいったん消滅して初期位置に戻る+HP全回復+1日経過で敵は再湧きするので、敵から逃げまくったせいで敵の位置がメチャクチャになることはない。
FEARから逃げつつ戦っていてFEARを振り切る位置に来てしまってFEARのHPが全回復しちゃって泣いたことは一度ある。
味方のパーティメンバーの動きも特に違和感なし。HPゼロになってもしばらくすると戻ってくるのは助かる。どういう理屈?とは思うけどそれはそれ。
ダンジョンもそれぞれ雰囲気があって良い。メッセージ性の強いロストガイア世界も良いし、人為が絡まないダンジョン(風の草原とか)も好き。
苦労したダンジョンはしじまの洞窟・星核螺旋研究所。つまり崩落床が苦手ってことですね。
【キャラクター】
パートナーに選べるするメンバーを中心に所感等。
どちらかといえば女性キャラの方が多いけど比率のバランスが大きく崩れていないのは良いと思う。
ただ、女性キャラが全体的に気が強い子が多く、性格面で差別化があまり出来ていない印象があって少し気になる。具体的にはアリア・クレス・シュリカが性格面でキャラかぶりしていて、立場でしか差別化できていないイメージ。
・クレス
だいぶ好き。
病気の根絶よりもQOLの向上に舵を切るあたりにロストガイア世界の未熟さが出ていて良いと思った。終末期医療に興味があるのでこの辺の話題があったのは嬉しい。
本編クリア後の世界は死季病もないし穏やかに町医者をやるんだろうか。
初めて会うのがクレスということもあり、私の中ではずっとメインヒロインみたいな気持ちでいた。非戦闘員であること、リ・ガイアの人間で物語の核心には届かないので中盤以降めっきり存在感が薄れるのが寂しかった。
だからクリア後の世界でパートナーに出来てとても嬉しかったです。
・アジール
不憫だと思っている。気持ちを寄せていたティエラは亡く、その後同じ顔の女に振り回され、かと思えば知らん話(ロストガイアまわり)に巻き込まれ……と全体的に巻き込んですまんかったの気持ちが強い。
ストーリーを通してアジールがいないと詰みになる状況がなかった(天の卵攻略・イスティナの加入あたりはアジールがいた方が楽だけどアジールがいたから突破できたと言うほどではない)ので、もっとうまく物語に組み込んで欲しかった気持ちがある。
特に終盤にいくにつれアジールが全然話についていけてない感じが出ていて、無理してついて来なくていいよ……としか思えなかった。
キャラクターとしては誠実で善人で、彼なりの魅力もある気はするんだけどうまく活かせていなかった気がする。もったいない。
・イスティナ
アジール同様、物語の上での貢献度は高くはない……けど、アジールと比べて浮いた感じはなかった。ファンタスマゴリアで出番が多かったのもあるかも。
天の卵攻略に必須なのもそうだけど、メインストーリー3話A・キャラクエスト内で内面の掘り下げが多かったのは大きいと思う。主人公に付き合わされているんじゃなくて付き合っている雰囲気がちゃんとあったのと、裏社会に生きていたのもあってロストガイアまわりの話も受け入れられているだろうと思えたのは良かった。
・ハイネ
めっっちゃ好き。
キャラクエストの内容が突出して良いと感じた。というか3話時点でメインストーリーの核に肉薄する感じがあるので特別だという印象が強い。
キャラクエストは潜水艦でフィアソラが目指した場所へ行く話だけど、行くことそのものではなくフィアソラの死を受容することが本筋だと思っている。私は死の受容の話が好きなのでこれも嬉しい。
戦闘パーティに入れると前衛に出すぎているのかよくやられる。あとなぜかカレノイドのボス戦で壁にめり込んで行動不能に陥ったことが2回あり、バトルメンバーとしてはあまり頼れない印象がある。
・エモ
最初はあんまり…だったけどキャラクエストが良かった。
何が良いかと言うと結論が出ないのが良い。
クエスト全体を見ても、敵対→歩み寄り ではなく、一番最初にあったシャトラの人々とエモの関係性が良好で、その後セイレーンのお祭りを通して一触即発になり、相互の努力によって歩み寄ろうとする のが良かった。最初の関係が良好なのが良い。
好みで言えば、エモのキャラクエストではもう少し先を進んで、セイレーンであることでエモを嫌う人が出てきたらもっと嬉しかった。
歩み寄れる人もいれば寄れない人もいる、それは悲しいけど努力は続けなければいけない……みたいな話の方が私は好き。もちろん今のキャラクエストの終わり方が悪いという話ではないです。
・シュリカ
元ヤンだ!
厳密には元ヤンじゃないんだけどなんか……垣間見える荒廃した性格が元ヤンっぽい気がする。
休憩でアジールとの会話があるのが嬉しかった。アジールの知る孤児院とシュリカの過ごした孤児院の質の差が出ていて良い。
信仰に関する結論については日本的だという印象がある。マザーがこの場にいないのだとしてもいるのだ、ではなく、マザーがいないとしても教えの大切さが変わらない、になるあたりが。
CERO対策かもしれないけど、シュリカが過ごした孤児院がどんな場所だったのかが曖昧なのが良いと思った。想像の余地がある。
・ブラッカ
キャラクエストより休憩中の会話の可愛さが胸に残る。雑な物ばっかり食べてるみたいだけどもっと良い食事をして欲しい。
主人公について行くようになったのは流れだし(これは全員そう)、ストーリー終盤は影が薄いんだけど、主人公がカイン種とアベル種を選ぶ前の台詞が心に残っている。
「お前の決断に文句を言う奴は俺が黙らせる」みたいなことを言っていて、ブラッカがそこまで言ってくれることが無性に嬉しかった。ごめんねブラッカごとアベル種を滅亡させて…………。
・ディアンサス
見た目のイメージで男性だと思っていたからパーティメンバーに加入して女声だった時はびっくりした。
中盤以降のキーパーソンではあるんだけど思いのほか存在感が薄い。ディアンサスが薄いというよりアリアとガイストが濃い。
世界の存亡レベルのシリアスが続く終盤、キャラクエストが牧歌的で癒された。メヤスバコで溢れる幻影城、微笑ましい。
・アリア
3話までは謎もありつつ一パーティメンバーくらいの立ち位置だったのに、どんどん存在感が増してプレイヤーの手に負えない人になった感じがする。
キャラクエストで自分の存在を疑うのも良かったけど、やっぱりメインストーリーでの活躍に目を奪われる。
特に未来人だと思っていた自分の立ち位置が崩れて魔王となる決意をする過程が、私の知っているアリアから変質していくような感覚があってかなり良かった。滅亡の主となろうとするに至る決断がどこか生々しく、キャラクター以上の存在感があった。
クレスと並んでパートナーにするか悩んで、選ばなかったのはアリアのそういうところに畏怖した面もあるのかも。主人公を通して私が手に入れて良い人ではないと思った。
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その他、ガイストが旧人格新人格どちらも超~~~~好き!!!!!
【その他】
・ADVパートでのボイスがまったくないのが寂しい。フルボイスではなくても、パートボイスでいくつかパターンがあったら嬉しかった。
・クリア後のパートナーの台詞が2パターンしかなくやや飽きる。ボイス無いんだしパターンはいくつか欲しかった。クリア後の楽しみにもなるし、季節とか時間によって変わる台詞は欲しかったな。私が見つけられてないだけだったらごめん。
・やりこみ要素が強いゲームなのもあるし、図鑑に各町・ダンジョンの様子が記録できると嬉しかった。
宝箱・ハシゴ修繕・爆発・コロネル人形・マップ踏破率あたりがパーセントまたは分数(1/4みたいな)で表記されてたら助かっただろうと思う。釣れる魚も何かあれば良いけどヒントは貰えるから無くても大丈夫かな。
現状それがなかったので、たとえばコロネル人形あと一つという時にどこを探せばいいか手掛かりがまったくなく、全部のマップを回るか攻略サイトを頼るかということになってしまうのは良くないと感じた。
・クラフトで必要アイテムがどの場所でドロップされるかは記載があるんだけど、おそらく初出エリアを表記しているな……?
クラフトのためのアイテム集めは記載されているダンジョンの2つくらい後に開放されるダンジョンへ行った方が良い状況になっていて引っかかる。ゲームの中だけの情報でゲームが快適にプレイできるようにして欲しい。
・各町に、非戦闘メンバーで愛着の湧くキャラクターがほしかったな~~と思っている。
シャトラの酒場のマスターみたいな感じ。レーテには各ショップ+子ども三人+クレス&ディルがいるからいいとして、ネメア・アルジェーンにも誰かしら欲しかったな。スクラップド・エデンも欲しいには欲しい。
クエストが充実しているし愛着も湧くんだけど、立ち絵イラストがあってクエストもボリューム多めのNPCが一人ずつくらいは欲しかったな。
一応ネメア・アルジェーンはそれぞれティエラ・テルがいて、この二名が上記の「個性が強いNPC」に該当すると思うんだけど、この二人はストーリーの進行で会えなくなっちゃうから気持ち的には違う。もちろんネメア・アルジェーンに立ち絵ありNPCを増やすと逆説的にティエラの死・テルの投獄をメタ読みしやすくなっちゃうから今回の選択も間違いではないんだろうけど、気持ちとしては寂しかった。
・大きい問題ではないんだけど、語感が似ている名前がたびたび出るので混乱する。
アジールとアルジェーン、シュリカとシャトラみたいな。頭文字・文字数などが一致している名前が多いので、まだ頭の中にハーヴェステラ世界が定着していない序盤はかなり混乱した。
特にアから始まる単語が多すぎる。アジール、アルジェーン、アリア、アイン(主人公デフォルトネーム)、アベル種。
こういうのって頭文字・文字数・文字の構成をバラつかせるのが基本だと思っていたから、逆になんでここまで被りが発生したのかが分からない。ここはプレイしていて混乱した。
細かい不満はあるもののダントツでやってよかったゲーム。
迷ってるならぜひ遊んでほしいです。熱烈にお勧め