【感想】黒の令達
黒の令達 感想です。
EXTRAは未プレイ。おそらく触らないと思う。
好みからやや外れるものの面白かった。
他のケムコ作品と比べるとやや薄味で、外連味のなさやカタルシスの薄さが気になった。
音楽は全体的に好み。特にエレキギターっぽい音がする、急がなきゃいけない時のBGMは好き。
スチルの少なさは欠点のひとつだけど、トガビトノセンリツと比べて盛り上がりが平坦なのもあり、特別ここに欲しい! みたいなのはそんなに思いつかない。
面白さで言うとケムコの他作品の方が上ではあるものの、つまらないってほどではない。
コンパクトで、ある程度は面白いアドベンチャーゲームが遊びたければおすすめ。
以下ネタバレあり感想。
レイジングループ・トガビトノセンリツのネタバレも含みます。
●世界観
舞台設定が船・各高校の生徒会たち、というのはあまり見ない設定で良かった。
設定まわりも結構好き。電話設定がほぼ死んでいる(作中でも言及があったので良いけど)のは気になったけど、処刑まわりの品の良さは気に入っている。
●シナリオ
すっごく淡々と進んだな……という印象。
一応盛り上がりの場はある(香椎、ミシェルの死の謎、終盤の連発されるバッドエンドなど)んだけど、死者が増えるにつれ冷静な人たちの比率が上がるので、パニックや恐怖はあまり感じなかった。
個人的なピークはミシェルの死亡通知が来たあたり。
メタ読み(バッドエンド後のヒントコーナーにいる人物は黒幕がち)があったのでミシェルの死を信じてはいなかったけど、ここの謎感は一番良かった。
悪い部分はなかったけど良い部分もそんなになかった、が感覚として一番近い。
香椎以外の全員の理性が効いていて、程度の差こそあれほぼ全員殺しに消極的だったのは大きいと思う。
他人を(間接的にでも)殺すメリットがもっと提示できていたら良かったんだと思う。
それこそ楓みたいに誰かを人質に取るとかね。生徒会メンバーなんだし学校の危機と絡めるとかでも面白く出来たんじゃないでしょうか。
淡々とした、ダレた印象があったのは、2周目のミシェル編がそこまで激しい盛り上がりがなかったからかも。
人員不足で大変そうだな~とかリーダー意外といいやつやんけ…とかやっていたから緊迫感が薄かった。
総じて、緊張感の薄さが問題なのかも。船の食料に限りがある件も香椎がいなくなってからは特に問題にはならなかったし、キャラクターを理性的にするなら衣食住とか三大欲求的なトラブルがあっても良かったんじゃないでしょうか。
●グラフィック
トガビトノセンリツの方と同じ。少女漫画っぽさがあって好み。
スチルは当然のように足りないんだけど、トガビトノセンリツと比べると盛り上がりが乏しいので、立ち絵や背景だけでごまかされても悔しさがそんなにない。
個人的には香椎の死に際はスチルが欲しかったかな~。スチルが欲しいというよりは、スチルが欲しくなるシーンをもっと作ってほしかった、に近いので、グラフィックの問題とは言いにくい。
●
キャラクターとして気に入ったのは鍋島・切子。
鍋島はまあ…みんな好きでしょ。ピーマン嫌いなの萌え萌えすぎて良かった。
切子さんはDLCでの掘り下げがかなり重要っぽいけど、本編時点でも好き。従者・人に歪んだ期待をかけるタイプの裏切り者あたりの私的萌え要素が揃っているのも大きい。
ミシェルの正体は意外っちゃ意外だったけど、死亡通知ズレ+ヒントコーナーのせいでメタ読みできちゃったのはあるので衝撃度はそんなに。
伏線的なものがないので、正体が明かされたからといってどうという感想もない。ここは本当に惜しかった。
楓もなんかある感は透けていて、香椎はただのクズ(でいいよね?)、他は特に印象には残らず……という感じで、アドベンチャーゲームとしては致命的なくらい人物への印象が薄かった。
●
よくも悪くも平易だったので不満はある。
設定やルールは好きなので、もっと面白く見せてくれたら嬉しかったな~と思えてならないです。