るーむ私記

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【感想】仮面ライダーギーツ


仮面ライダーギーツ 感想です。

 視聴中の気持ちの盛り上がりで言えば、過去に観た仮面ライダークウガ・アギト・ゼロワン・リバイス)の中でトップクラス。かなり楽しかったです。
 以下ネタバレ。ギーツ以外の作品のネタバレはありません。


●良かったところ:大体全部


 割とこれ。
 人物の心情・行動に対して、違和感があるシーンがなかったと思う。
 ツムリが英寿に肩入れするのも少し間違えば「そうはならんだろ(英寿の主人公補正がエグすぎるだろ)」となりそうなんだけど、早い段階で疑似家族+協力体制が敷かれたので、ツムリの言動に違和感がなかったのはかなり大きい。

 以下、具体的な話。

●良かったところ1・予想できるはずなのに予想させない展開


 1話を観た時点で「GMがいる世界設定で敵キャラが出るってことは、ジャマトを管理・供給する存在がいるのか?」「英寿カッコつけすぎじゃない? 誰に向けての決め台詞なの?」みたいな感想は湧いて、実際ジャマーガーデンは存在するし未来人の視聴者も存在するんだけど、本編で提示された時に本当にビックリできたのはすごく嬉しかった。

 景和が序盤で言う「また同じ(タイクーンの)バックルだ」というのも、番組製作のメタ都合でありデザグラ製作のメタ都合でもある。メタの重ね塗りが起こっていて見事の一言。

 特に予想できなさで言うと、今回はゲームクリア→ジャマ神誕生 が何回起こっても問題ない世界観なので、今のゲームがどのくらい続いてどうなる、みたいな予想が最終盤まで立てにくかったのも嬉しかった。

●良かったところ2・バトルシーンが常にカッコいい


 私はバトルシーンにあまり興味が持てないんだけど、それでも毎話ハイライトがあって良かった。
 手抜きがないと言えばいいのか、視聴者がほぼ満場一致で「ここが良かった」って話題に出しやすいシーンが必ずあったと思う。

 1年間やるドラマだし、途中での方針転換や予算の兼ね合いなどで「最初はあったけど途中でなくなる」ことが多いのは承知してるんですよ。
 私は装備の上半身と下半身を入れ替えるような換装(これ伝わるのか?)がかなり好きで、しかも最終話までやってくれたことに強い喜びを感じている。しかも空中で入れ替えて敵の攻撃を弾くなどもあり、装備のシステムや各人の能力がちゃんと考えられている&現場で共有されているんだな~と思って嬉しかった。
 特に祢音ちゃんのお父さんの戦い方は「慣れていないけど必死」感があって好き。

●良かったところ3・オーディエンスども


「オタクはこういうの好きじゃん」の「こういうの」って、ギーツのオーディエンスのことを指してるらしいですよ。

 単純にオーディエンスの存在が明かされた一連の流れも最高だったし、オーディエンス=仮面ライダーファンとしての陰陽が現れているのも好み。

 雑な善悪で振り分けるとジーンが善、ベロバ・ケケラが悪なんですが、じゃあジーンが絶対善/ベロバ・ケケラは絶対悪かと言われるとそうでもなく……功績のデカさもあって無かったことになってるけど、ジーンって3.5次元番組内で明かされていない過去まで探ってるし動向はまあまあキショいからな……。

 推しの不幸を望むべロバ、古典的な仮面ライダーであれと願うケケラのどっちの気持ちも分かるところはある。祢音ちゃんの出生が判明して罵った悪のモブオーディエンスたちの気持ちも、架空のキャラクターに対してならああいう汚い言葉も使っちゃうかもなあ、みたいなところもある。
 どのオーディエンスにどう共感/反感するしないは別として、仮面ライダーファンが仮面ライダーの命の輝きを啜る妖怪でもある点を示してくれたことに私はグッときました。

●良かったところ4・話が分かりやすい


 本作って結構めんどくさい話だと思うんだけど、話を観ていて混乱しなかった。

 混乱しそうポイントはいくつかある。

仮面ライダーVSジャマト、仮面ライダーVS仮面ライダーで、対立軸が多い
→しかも、対立軸はその後さらに増える(仮面ライダーVSゲームマスターゲームマスターVSツムリ、ゲームマスターVSサポーター、仮面ライダーVSサポーター、サポーターVSサポーターなど)
・役職的な陣営が多い。仮面ライダー仮面ライダーサポーター、デザグラ運営、デザグラスポンサー、ジャマーガーデンと5陣営があり、更にその中で対立・協力関係が発生する
・ゲームの内容は戦闘ごとに異なり、勝利条件や勝者の数も変動する

 これを、視聴者が破綻なく観れるってすごくない?すごいと思います。
 特に関係性。登場人物がだいぶ多いのにこんがらがらないのはビックリした。

 一応どうして混乱せずに済むのかはアタリがついていて、「そんなに人間が入り乱れない」ことに要因がある。
 主要キャラは4人(景和、英寿、道長、祢音)に抑えられていて、他の人物はこの中の1人から関係性が延びる感じになっている。各サポーターは推しライダー以外との絡みが少ないので、たとえばジーンと道長の関係性に混乱はない。
 なので、4人のキャラさえ掴めていれば、そこに附随する要素として他キャラクターは理解できるようになっている。

 これは構成の勝利とも言えて、各編と登場人物の登場/退場は以下の通り。

・邂逅編:ジャマ神はスター化した英寿。チュートリアルなので4人以外のキャラクターは割と使い捨てで、今後は登場しない。英寿が勝利。
・謀略編:ジャマ神は父ギロリ&姉ツムリを得た英寿。ウィンが出て不正が行われるが打ち切り。ウィン&ギロリ&道長はいったん退場。ジャマ神なし。
・乖離編:チラミ・冴さん・五十嵐大智と各サポーター登場。べロバによって打ち切り。ジャマ神なし。
・慟哭編:ジャマグラ編。新キャラは特になし。英寿&景和が消滅。
・慕情編:デザロワ編。ジャマ神は全てのライダーをぶっ潰す道長。英寿&景和が復活。沙羅さんがライダー化。ウィン再登場。
・創世編:沙羅さん退場(のち復活)。景和が闇落ち(のち復活)。べロバ・ケケラを撃破。ギロリ再登場。

 それぞれについてまとめる。
 各編について見る前に書いておくと、ゲームマスターについては一人退場するごとに補充される形なので、話が進んでも物語を動かすGMは常に一人(最終盤を除く)。そのため、GMの登場・退場については原則としてここでは取り上げません。

 まず邂逅編は世界観の把握に使われている。ライダーが必ずしも善ではなく協力もあれば足の引っ張り合いもあることが明示され、英寿の強さと「何かある」感がよく出る。祢音―景和が協力体制で、道長は英寿の敵だけど仮面ライダー全体の敵でもあるっぽい? くらいの感じ。その他のライダーは出るけど重要度は低く、世界観の説明用キャラの側面が強いので、認知負荷の対象にはならない。

 次が謀略編。途中でウィンが登場するので認知負荷は上がるものの(登場してすぐは)運営陣営なので認知負荷は軽い。退場は道長・ウィン・ギロリ、追加はニラムで、第三陣営としてニラム陣営(プロデューサー陣営)が加わる。

 乖離編。これは一番すごいと思っていて、登場人物が急に増える。冴さん・五十嵐大智・サポーター4名・チラミの計7人が増える。アルキメデルを入れるなら8人。謀略編で道長が退場したとはいえ、序盤より6人増えている。

 ただ乖離編は認知負荷が高いわけではない。
 立場は3つで、仮面ライダー・サポーター・運営に別れる。謀略編でギロリとニラムは敵対関係だったけど、ニラムとチラミは協力関係なのでひとまとまりに考えられる。更に【この時点では】サポーターは仮面ライダーの協力者なので、ライダー&サポーターは同陣営に考えられるので認識しやすい。
 逆にゲーム内容もあって仮面ライダー側は分断される。とはいえ強固な陣営を築くわけではないこと、景和・英寿・祢音のキャラクターは理解できていて理解の負荷は新キャラに偏るので、やっぱり負荷は軽い。特に五十嵐大智はジャマ神を目指すバックボーンに過去の出来事が絡まず、冴さんは家族のためということで景和と近いので「新しい情報が増えた」感は薄い。
 終盤は五十嵐大智・冴さん・チラミが退場する代わりにべロバが別陣営として立ち上がり、終了時点での陣営は「仮面ライダー&サポーター」「ニラム率いる運営」「べロバ率いるジャマーガーデン」の3つになる。
 7人増えて3人減って最終的に4人増えているけど、この段階では仮面ライダー=サポーターを一致させて陣営を増やしていないので、誰が何みたいなのは分かりやすい。

 慟哭編。べロバ&ミッチー大活躍。この時点ではべロバ&道長は思惑が違っても協力関係にあるので、陣営は「仮面ライダー&サポーター」「ニラム率いる運営」「べロバ率いるジャマーガーデン」のまま。新キャラは出ないものの道長が物語に戻ってきたりミツメの存在感が増したりと、仮面ライダー以外の登場人物を掘る方向で情報を増やしている。
 ここで注目したいのは【登場人物が増える時は既存人物の情報は増やさない、既存人物の情報が増える時は登場人物が増えない】点。重要情報の増え方は一つずつ、が徹底されているので、全部終わってから情報を俯瞰すると情報は多いんだけど、毎週一話ずつ観ていると負担なく理解できる。
 ここは情報が増えるのみで登場人物は増えず、なんなら景和と英寿が退場する。

 慕情編は景和・英寿・ウィンの復帰や沙羅さんの仮面ライダー化による祢音ちゃんとの百合(オタクの誇大表現)など関係性や人物は増えているけど、どちらかといえば既存人物への属性追加の面が強く、人物の追加に伴う関係の変化は乏しい。
 この辺からケケラのヤバさが顕在化。サポーターと仮面ライダーの思惑は入り乱れるものの、縦軸としては「グランドエンドをするVSグランドエンドをしない」なので、個々の対立はあっても話の進行そのものは二者の対立になっている。
 退場者はミツメのみで、GM以外の新登場キャラはいない。

 創世編も二者の対立をひとつずつ解消していく方向性。
 景和の闇落ちと復帰、沙羅さんの死と復活、光聖さんの変身、祢音のパワーアップ、べロバ・ケケラの撃破、黒ツムリ白英寿など色々あるんですが、順番に話が進むのでスムーズ。
 五十嵐大智がジャマト陣営と言えなくはないけど、仮面ライダー側について戦うので第三陣営ではない。
 ギロリが再登場するけど性格や行動原理は一切変わらないので認知負荷はない。



 なっっがくなっちゃったな。
 要点は慟哭編で書いた通り「人が増える時は重要情報を出さない、重要情報を出す時は人を増やさない」が徹底されていること。あとはリアリティーショー+バトロワ設定で、現実に置換する理解がかなり楽。
 めんどくさいことをしたい時は、やりたいこと以外は全部簡単にすることの重要性がよく分かりますね。



 夢中になれる仮面ライダーに出会えたことは本当に素晴らしい経験だった。
 ラスト、ガッチャードの主人公を見送る英寿の「幸せになれよ」が本当に心に沁みた。本当に良い話が観られて幸せです。

●俳優さんの話


 役・キャラクターではなく、それらを演じた俳優さん自身の話です。


・ツムリ役の青島心さんが可愛すぎ
 顔を見た時、大きい目を表す「アーモンドのような瞳」ってこういうことか!!ってすごく納得した。
 顔が小さくて顎がシャープで相対的にパーツが大きいのに均整が取れている。美しすぎ。
 ハッと目を見開いたような表情が特に美。衣装が似合いすぎている。

・英寿役の簡秀吉さんは輪をかけて美形
 終盤の白髪白衣装で美しさが損なわれないのは何事??
 私は白い肌と白髪のキャラクターが好きなんですが、どうしても現実の日本人がそれをやると肌の色味が浮いてしまって白一色の神秘性が少し減る。単純にコスプレ色が強くなっちゃうのでイマイチ率が高いんだけど、この方はま~~~~美人なんですねえ…………。似合っていました。

・ギロリ役の忍成修吾さんは私の堺雅人
 意味不明だと思うんだけど説明だけさせてください。説明を聞いても意味不明だとは思います。

 私は堺雅人の顔が分からない。今ググって顔を見たら知っている顔だったけど堺雅人かと言われると良く分からない。
 ただ堺雅人って有名だから名前はよく聞くんですよ。それで私がボンヤリ思い描いていた「堺雅人像」に忍成修吾さんがピッタリだったので、忍成修吾さんの顔を見ると「堺雅人だ!」と思うようになった。なんかあの顔、すごい堺雅人って名前が似合いませんか?私は似合うと思います。
 改めて書くと堺雅人にも忍成修吾さんにも失礼な話で最悪だな。忘れてください。