るーむ私記

プライベーーートなブログです

【感想】プリキュアオールスターズF


ラクルライト復活おめでと~!

【これまでの視聴履歴】
デリシャスパーティ♡プリキュア、ひろがるスカイ!プリキュア

【劇場版の視聴履歴】
夢みる♡お子さまランチ、HUGプリオールスターズメモリー

 以下、上記作品+劇場版本編のネタバレあり。プリキュア作品の名前は原則として略称です。
 観に行った時点で、ひろプリは33話まで視聴。キュアマジェスティ正式加入まで終わっているくらいの状況ですね。


 謎の世界に分断された状態からスタート。
 私が視聴した劇場版の過去2作はどちらも既存世界が舞台だったのでこれは新鮮…と思ったけど、ドラえもんの映画は異世界に行くものが多いし、子ども向け作品の劇場版だと異世界がメイン舞台なのはそんなに珍しくないんだろうか。
 と思ったけどドラえもんも基本的に何らかの前フリはあるので、異世界から急に始まるのは珍しい気はする。
 最後まで観れば分かる通り、これは「ここ」から始まることの意義がありますね。

●和実ゆいに会えて嬉しい


 今回はトロプリ、デパプリ、ひろプリの3作をメインにしたオールスター作品。
 トロプリも全部は観ていないけどそれなりに思い入れはあり、私としてはかなり観やすい感じ。

 初めて通しで観たプリキュアということもあって私はデパプリ、特にゆい(キュアプレシャス)に思い入れが強く、ゆいに会えた瞬間ブワッッと体が熱くなった。
 ゆい……好きだ……。

●分断されたプリキュアたちとその面白み


 序盤はプリキュア同士の合流・目的の提示が続くので、退屈と言えば退屈。
 キュアスカイ(ソラ)の変身が劇場のスクリーンでフル尺で観れて嬉しい・フィナーレのバトルは観応えがあっていいね~~くらいの感じ。

 ひろプリメンバーを軸にする形で4グループに分かれる。
 ソラグループはソラ、ゆい、まなつで主人公が揃い、後にキュアシュプリームが追加。しかしキュアシュプリームは仲間になるというよりは「同行」くらいの立ち位置に留まる。シュプリームについては後述。
 ましろグループは本作初登場のマスコット・プーカがいたりヒープリの主役・のどかがいたりと準メイン層という感じ。
 つばさのグループはあまり記憶にないな……魔法つかいプリキュアプリンセスプリキュアからの参戦があり、つばさにとって大事な「空を飛ぶ」「プリンセス」あたりの要素を拾った組み合わせなのかなという具合。印象は薄い。
 あげはグループはララ&ゆかりちゃんの対立もあり、観ていて一番面白さを感じる。

 プリキュア映画はかなり親切なつくりで、上記グループに属するメインプリキュアは初出時に作品ロゴ+キャラクター名+プリキュア名がすべて明示されるので初見にも親切。

 フィジカルエリートしかいないソラグループはまあ元気で楽しくやっておられますね……という感じ。
 パワフルに食材を集めてパワフルに飯を食ってガハハ!!ごちそうさまでした♡をずっとやってはいるものの、ソラがましろと合流したいあまり焦るのをまなつが「今一番やりたいことをやる」で落ち着かせるなど、人間的成長の見どころもある。

 あげはグループのララ・ゆかりの和解とかツバサがキュアフローラに対して「この世界のプリンセス!」と言ってフローラが喜んだりと細かいポイントはあるものの、ここで一番良かったのはプーカを擁するましろグループ。

 トロプリ知らないなりにローラが好きなのでましろ・ローラの合流シーンのローラの徹底した無関心的態度が非常に好き。ましろプリキュアだと判明した時の「早く言ってよね!」とかも好き。ローラ……たぶん好きだ……。

 トロプリは全体的にアッパーな作風なのでギャグ描写を挟みやすく、電車に乗り遅れたのどかを助けるシーンでローラがヒレを伸ばすシーンも、作中の彼女たちが真剣なのは分かるんだけど観客としては笑えて良かった。

 ギャグシーンも多い(そしてここで多いということは、終盤は笑いどころゼロのシリアスが展開されるのだろうとも分かる)んだけど、やっぱりプーカが覗かせる闇がフックとして好ましかった。

 人に触れられるのは怖い・でも一人で生きていけるほど強くもない・敵には狙われる・「プカ」しか喋れないなど弱い面が目立つプーカの過去が随所にカットインし、何かの事情があることが察せられる。同時にソラグループに合流したシュプリームの輪に馴染まない様子は気がかりで、シュプリーム・プーカの過去に何かあったんだろうな……とは察せられつつ明らかにならないのも良い感じ。

 このグループの白眉はのどかがいることで、生命を尊重するのどかがいることで、プーカを擁する意義が強くなったと思っている。
 逆にそれ以外のメンツについては特に必然性は感じていない。ローラがいるのはプーカのシリアス成分のバランス取りとして、あまね・ましろがこのグループで「なくてはならかった」理由はそんなにない……? もちろん必然性がなきゃダメってわけではないです。

ロードムービーの退屈:離別と合流が早くねえ!?


 合流~城(城下町)までの移動シーンはロードムービーっぽさもあり、私は退屈だった。
 特にBGM+止め絵で移動シーンを映すシーンは長さを感じて気になった。私が本作に求めているのが変身前の姿でなくプリキュアとしての可愛さ・映像のゴージャスさなのもあるので、ここは映画の瑕疵というより私とのミスマッチだと思う。

 劇場版の宣伝でよく流れる、落下するましろ+手を伸ばすソラのシーンはここ。
 この時点で体感で半分(30分)くらいは経っていたので、ここで別れてラストで合流する感じかな~と思ったら合流が早くてウケた。

 分断されたシーンでものどかさんが白眉。
 電車どころか町すら破壊してプリキュアの足を引っ張りまくり、破壊の力を持つからこそ触れ合いを拒むプーカの手を握って「大丈夫」と言うシーンはかなり良かった。
 このシーンを観ている時には「いいシーンだけど冷静に考えて『大丈夫』な根拠はないだろ」と思っていたけど、プーカの生い立ちを考えればプリキュアが触れることは「大丈夫」ですね。だってプリキュア妖精だし。
 何よりウサギ型妖精のプーカの手(肉球がある!)にのどかが触れるのは、変身バンクやアイテム内でラビリンと手を繋ぐ・肉球を叩くことがフックになっていることと繋がっていて良いですね……。劇場版の後でヒープリ1話を観たら「心の肉球がキュンとする相手」という文言があり、これがプーカのアレに繋がってるのか!!!!と分かって非常によかった。

 その後萌えキャラと化したフィナーレ(城オーバーキルすな)などを経て合流→敵ボスはサラッと撃破して、気持ちの面ではここから「本編」が始まる。

●空回りのプリキュア、キュアシュプリーム


 最強の存在・シュプリームがいったんプリキュアに勝利した上で世界を破壊、再構築後の世界(劇場版世界)でプリキュアの強さを知るために自身をプリキュア化、プーカをプリキュア妖精にした…という世界の秘密が明かされ、ここからはキュアシュプリームと戦うことになる。
 あげはグループであった謎の足湯スポットは台詞で説明されていた通り、ヒープリ世界のものがこの世界にあることの伏線ですね。他にも何かあったんだろうか。

 バタフライ・ウィングがシュプリームに特攻して散るシーン、ぼかしてはいるけどプリキュアの【†死†】ってあんな描写していいんだ!?と思ってびっくりした。
 しかし劇場にいた子どもたちは特に泣いたり怯えたりはしていなかったので、あのくらいならいいのかもしれない。しかし特攻前のバタフライが「大人に任せて」みたいなことを言って投げキッスするシーン、絵面の美しさと同時に「大人って言うけどまだ18歳ジャン!!!!泣」という悲しさもあり……。

 それにしても良いのはキュアシュプリームの造形で、全然「なってない」のが好き。

 プーカもウサギっぽい・鼻の造形がケモっぽい・シールドがウサギ型などから、キュアシュプリームのモチーフはウサギと思われるんだけど、そこに一切理念がないのが良い。
 基本的にプリキュアって本人や世界観の持つ2つの要素を掛け合わせてるんですよね。同じウサギモチーフのプリキュアにはプリアラのキュアホイップがいますが、Wikipediaには『スイーツが大好き』『「ウサギ」のように跳びはねるクセがある』とあり、ウサギ要素をプリキュアに取り込む意義がある。

 ただ、キュアシュプリームのウサギモチーフには意義も理念もない。
 そもそもあの世界に動物は登場しておらず、シュプリーム曰く「必要ないものは作っていない」ので、あの世界に動物が存在しない可能性すらある。
 別にシュプリームが可愛いもの好きということも作中から読み取れないし、キュアシュプリームが自身のモチーフにウサギを起用したのは「なんかそれっぽいから」程度なんだろうな~と思えるのがとてもいい。
 ウサギなのも(メタ的に理由はあるかもしれませんが)、なんか女の子っぽいから…くらいの雑解釈でプリキュアをやってるからなんだろうと分かるのが面白い。

 これはプーカも同様で、劇中で語られた通りの雑解釈でプーカは作られたわけだけど、これも大雑把すぎる。
 そもそもプリキュア妖精のバリエーションはかなり豊富で、デパプリのコメコメみたいに成長するのもいるし、ひろプリに至っては妖精がいない。こういうところにシュプリームの「表層だけ真似ているが本質は分かっていない」様子が随所にあって最高。

●ラストバトル:急に百合が始まったので


 アップドラフトシャイニングを盾にするなどの戦いを見せるもプリキュアは再度敗北し、プーカが覚醒。
 マジェスティの活躍はもっと見たかったんだけど、さすがに本編との兼ね合いで難しいのかな……無念。

 ここからプリキュアたちの一気呵成の反撃が始まる。

 プリアラ+フィナーレの攻撃はあるだろうと思っていたので見られて満足。
 あとは作品を超えて属性(青色とかお姉さんキャラとか)での一斉攻撃も良いですね……。
 もちろん一斉攻撃だけでなく、今回のメインでもあるプレシャス・サマーは単騎攻撃だし、戦いに応援で参加するキュアエールがいるなど本人の特性が生きていてよかった。

 特に今回は理念を持たないキュアシュプリームが敵なので、理念やモチーフベースでの戦いをしていることでプリキュアの強さの説得力になっていたと思う。宇宙空間で応援するキュアエール、ちょっと面白いんだけどかなり熱いのでは?

 まあそんなことはいいとして、個人的にはキュアマカロン・キュアショコラにびっくりした。
 なんかすごい百合をやってませんでしたか!? あれはそんな……何? どうした? 百合のオタクを釣りたいのか? 私はプリアラに一気に興味を持ちましたが?? キュアジェラートも可愛いんだよな……。

●ラスト:一人のプリキュアからプリキュアの一人へ


 そしてキュアシュプリームは敗北、キュアシュプリーム・キュアプーカは共にプリキュアたちに迎え入れられてEND。

 これ、キュアシュプリームが黒・キュアプーカが白で初代オマージュなんだろうな~と思って良かった。
「みんなで鍋」という形で終わりはするものの、最後に映されるのは手を繋ぐシュプリームとプーカ。本作はプリキュアのオールスター映画でありながら、シュプリームとプーカが真に「仲間」になるまでの物語でもあるのだと分かってすごく良かった。



 途中のロードムービー(城下町までの移動)の長さは気になったものの大きい瑕疵もなく、かなり満足。良かったと思います。

 以下、細かいトピックなど。

・思ったよりミラクルライトの光量は強かった。劇中にミラクルライトを向けることを意図したっぽい暗転シーンがあり、確かにスクリーンに当たる光には応援の力みたいなものがある気がした
・ララとゆかりが触手・手を繋ぐ和解シーンはスタプリを知っていたらもっと読み取れるものが多かったんだろうな~!と思って惜しかった
・キュアミルキーの攻撃、その触手から出るんだ!?
プリキュアデザイン的に好みなのはプレシャス・グレース。背中部分が覆われるロング+ボリューム感が強いことが大事っぽいと気付いた。参考にします
・のどかさんがあまりにも良かったのでヒープリを観ることにしました

●余談:劇場版のためにTV版を見ることについて


 TV作品はひろプリが通し観の2作目、劇場版もこれで3作目と長大なプリキュア歴史の破片くらいしか知らないけど、なんとなくTV版はこの時期はダレがちなのかな?と思っている。

 たとえば仮面ライダーはクリスマス前後で大きい動きが出るなど、オモチャ販促や作品構成の都合上、毎年同じ時期に似たようなストーリーが起こるのは分かっている。それ自体は問題ではないんだけど、プリキュアの場合は踏襲される伝統が面白みに繋がっていないような気がする。

 去年(デパプリ)もこのくらいの時期は「コメコメが足を引っ張る回が多い」と思っていたし、今(ひろプリ)も「エルちゃんが急成長してマジェスティになる都合とはいえ、細かい積み上げが多すぎて面白みが薄い」と思っている。

 同じ子ども向け作品だと仮面ライダー・戦隊ヒーローも毎週観ているけど、それらと比べてプリキュアは毎年同じことが起こりすぎている印象がある。
 ひろプリはプリズム・ウィング・バタフライの追加が従来よりも遅いなど変化はあるんだけど、だいたい折り返しの9月に追加戦士が来て浄化技がパワーアップされるのは同じで、そこに新規性を見出しにくい。

 一言でまとめると毎週観るプリキュアを退屈に思っている。

 まったくつまらないわけでもなく、この記事時点での最新話にあたる34話では物語からフェードアウトしたカバトン・バッタモンダーのその後が描かれることには面白みを感じるし、キュアマジェスティが今後どう活躍するかも気になってはいる。少なくともひろプリは最後まで観ると思うけど、今後どうするかは未定。

 とはいえ、今のところは継続視聴の考え。

 一番大きい理由として、バンクシーンを観た時の高揚感は捨てがたい。プリキュアシリーズは省略等はあっても毎話必ず変身バンクが挟まれるので、40数回の視聴に耐える気合の入ったバンクは泣くほど可愛い。
 バンクシーンは物語の蓄積やキャラクター理解があってこそなので、YouTubeに上がっている変身シーンまとめだけ見てキャッキャするのもやりたくない。

 今後のプリキュアシリーズ視聴について今は迷っているけど、プリキュア2作を観て結論を出すのは性急な気がする。ゼンカイジャーとドンブラザーズだけ観て戦隊モノを語るような蛮行かもしれない。
 今はヒープリの視聴も進めているので、とりあえず5作くらい観終えてから決めようかと思っています。可能な限り視聴継続する方向で。