るーむ私記

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【感想】AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ:ミステリ要素が強化され高評価、面白くすることに貪欲だけど面白くなったかは別問題

AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ の感想です。

本編終了後のおまけ要素にあたる異章・三等船室までクリア。データは未コンプ。
Switchスリープ中も時間カウントが進む仕様でゲーム内のプレイ時間がカンストしているため、プレイ時間は不明。30時間くらい?
前作と比べてプレイヤーの推理を要求する遊びが増えたのは嬉しい点。新キャラや時間軸の変更によるビジュアル変更も割と良い感じ。
好きなキャラは時雨だけど問題児もまた時雨。異章プレイ時点ではかなり好印象だったけど、後になってからイマイチに感じている部分もある。

とはいえ、メインとなるHB事件については良かったと思います。

以下ネタバレあり。

本記事でネタバレがある作品のリスト

AI:ソムニウムファイル、AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ、ever17

賛否微妙なオカルト要素:作品への貢献度が低く心証が悪い

最初に欠点の話をすると、本作に登場するオカルト要素の扱いは良くなかった。


オカルティックな要素が出るのは前作に続いてなので問題なく、むしろ好き。本作は%教団が登場し時雨によってその教義についても深く語られ、ここも好き。

ただ、みずき編5章M1「最終」、マーブルでママから明かされる本作の真実については悪いと思う。

ざっくり説明すると、プレイヤーから見えていた「龍木編が過去、みずき編が現在」の時間軸はそもそも誤りで、龍木編・みずき編ともに過去・現在視点が混在していた…というのがここで明かされる。

プレイしている時はうおーなるほど!!って思ってたけど、冷静になるとよく分からない。

room-shiki.hatenablog.com

クリアしてすぐくらいの頃は褒めてたのにね

時系列の混乱はママが説明した通りなので良くて、別に矛盾はない。
ただ、プレイヤーから見て時系列の混乱が起きる理由が一切感じられないことが気になる。

プレイヤーを騙す面白いギミックだけど、プレイヤーを騙す面白いギミックの域を出ていないよね、という話です。
たとえばever17でも似たようなギミックがありますが、それは「BWを騙すことで武を救う」目的があったので良い。ただ本作は、時雨の思想的な目的こそあったものの、メインキャラクターやHB事件などの主題に一切絡まないので、わざわざ取り入れた意義が薄い。
そもそも時雨が%教団の教義を証明しようとしたことが、プレイヤーの視点に混乱が生じることに繋がるかが理解できなかった。この辺の疑問がプレイ後にふつふつと湧いてきて、クリア後に頭の中で評価が下がってきた感じがある。

シンプルに、キャラクターにとって自明なことをプレイヤーへの謎として引っ張られて癪だったのかも。
プレイヤーからすれば「6年を隔てて出現した半身のトリック」がずっと気になっていたのに、キャラクターの目線では「切断はしたとして、誰がどうやって死体を運んだのか」が問題になっていた。ここのすれ違いが別に面白くなく、悪い意味で騙されたと感じたので印象が悪い。

キャラクター:新旧のバランスが良い感じ。時雨が特にLOVE

上記の理由で本作のギミックには大きい欠点があるものの、じゃあ時雨が嫌いなのかといえば…メチャクチャ好きです。

超然とした態度を取るに至った人間らしい苦しみと、人によっては「発狂」と呼べるような%教団への傾倒、そして作中人物目線からだと意味不明なニルナンバーの通知……人間を辞められるのは人間だけ、という感じが強くて非常に味わい深い。

前作ではイマイチな性格だった応太も割と性格がマトモ寄りになり、悪目立ちするキャラがいなくなったのでプレイ感の改善に繋がっている。

ライアンも登場初期はクズでは…みたいな不安があったけど、本気で絆を想っていることが伝わってきたので最終的にすごく好きになった。

逆にヘイト担当の法螺鳥は話が進むにつれどんどん最悪になっていく。この辺の感情コントロールの上手さは流石の一言。

前作主人公・伊達の登場も頻度を絞りつつ重要パートで顔出ししていて美味しい。

ソムニウムパート:私の愛した理不尽は消え、ゲームとしては正当進化

本作は鍵則(きそく)が導入され、ソムニウム内でのルールがかなり分かりやすくなった。

前作ソムニウムパートの理不尽でルールが見えにくいところが好きだったので寂しくは思いつつ、普通に面白くなっていたので普通に良い。
完全に脱出ゲームな閏、パニックホラーのネエネなど、ジャンル違いのゲームを遊ぶような雰囲気があって楽しかったです。まあホラー耐性がないのでネエネのソムニウムは怯えながら遊んでいましたが…。

これは怖くないソムニウム

ソムニウムパートになると急にふざけだすのも健在で、前作のそういうところが好きだったので本作でも踏襲されていて嬉しい。
本作で一番好きだったのは、イリスのソムニウムパート冒頭の池の水を抜いたら出てきたタマ。マジで何???????好きです。

これも好き(アイボゥが可愛いので)

拡張視覚パート:推理要素が強化されていてハッピー

本作から追加された捜査・推理要素。

推理系ゲームによくあるアレ。情報を調べて集めきったら選択肢が出て推理するやつ。
別に目新しさはないんだけど、アイボゥ・タマのサポートがあるのでシステムとストーリーの食い合わせが良いこと、複数の視覚を切り替えるシステムなのでそこは良かった。(切り変えなきゃいけない+切り替え中は視認性が下がるのでめんどくさくはある)

前作は選択肢を適当に選んでいけば何も考えなくても答えに行きつけた感じがしていたけど、本作は拡張視覚パートでプレイヤーの思考の促しがあって良かった。

まとめ:空回りしつつミステリ要素の強化で面白くはある一作、次作もぜひ!

鍵則・拡張視覚パートなどを通して、推理ゲーム的な面白さがパワーアップした本作。
それでいてオカルティックなムードもあるのが強い魅力で、前作のアクや欠点を薄れさせつつ外連味は保たれていると感じました。

最初に挙げたギミックの使い方や、めだまっぺ・アイボゥ/タマの部屋など、別に好みではない要素もそれなりにはある。
ただ、それらも(好みではないけど)ゲームの面白さを増やすための工夫だったんだと思う。ギミックについてはマイナス寄りの評価ではあるけど、面白さのフックを増やしたサービス意欲は好ましい。

なんやかんや言ったけど好きなシリーズです。
2024年内に次作、またはそれに類する何かの発表があるらしいので、それも期待して待ちたいと思います。