映画「ヘルタースケルター」の感想です(原作含めネタバレ有)
原作を数年前に読み、この作品の持つ色彩のキツさが強烈に印象に残っていました。
映画化も直後から知っていたのですが、なかなか縁に恵まれず、公開から三年が経った今、ようやく観ることが出来ました。
映画版は原作にある要素が色々抜けていて物足りないというのが一番に来る感想です。
映画版に瑕疵があるというより、原作では色々な人物のストーリーがありながら進んでいるから、映画一本分くらいの分量で全てを表現するのは難しいのだと思います。
原作がある映画であり、原作が私にとって思い入れの強いものであるために、不満点は多いです。
特に気になったのはりりこの妹・チカコ周りのストーリーが削られたことでしょうか。
りりこ周りはその分、原作に忠実にしっかり描かれていたような感じです。散漫さはないので、恐らく映画単体として観ても普通に面白いのではないかと思います。
後半のりりこの混濁・妄想の表現は映画の方が良いと思いました。
お風呂の中からカプセルがどんどん湧いてくるシーンや鏡の中の蝶もそうですし、ケーキが供されるあのシーンは観ていて凄まじい。
こずえを傷つけようとする美知子・幻覚に苛まれるりりこ両名の恐怖が、ぐちゃぐちゃになっていく画面と音声でこちらにももろに感じられます。
人形の目玉が物凄い勢いで動いたりするので、人形とかピエロが怖いってタイプの方は観ていられないかもしれないですね。
シーンやエピソードのカットはありながらもおおむね原作に忠実で、原作をあからさまに改変したのは、りりこの記者会見シーンくらいでしょうか?
原作では控え室にりりこの眼球だけがあって、りりこが行方不明。
本作では記者会見中にりりこが目にナイフを突き立てる。
原作を読んでいる時からこのシーンについてよく理解出来ていなかったのですが、「目玉と耳と爪とあそこ以外は全部作り物」のりりこが、自分の生来持っていた眼球だけを皆の元へ残したということなのでしょうか。
○総評
色々書きましたが、一本の映画として観て面白い作品だと思います。
華やかすぎる色彩のりりこの部屋、りりことはあらゆる意味で対極にあるこずえ等、建物の雰囲気からキャストから服装まで本作の雰囲気に合っていて驚きました。
映画から入った方にはぜひ原作を読んで欲しいし、原作を読んでいる方には映画でりりことその周囲の狂気を肌で感じて欲しい。どちらから入っても楽しめる映画だと思います。