【感想】アーキタイプ・アーカディア
トロフィーコンプ率は100%、バッドエンド・各ルートエンドは全部見て、イベントCGも全て埋まっています。
プレイ時間はどのくらいだろう……60時間前後? フラグ構築が必要なバッドエンド5探しに少し時間がかかった+最終的に攻略サイトを見た以外は外部情報は閲覧せず。
フラグ構築が必要なバッドエンドは2つ、それ以外は選択肢を選んでバッドエンドに直行するタイプ。個別エンドも人によって好みはあるだろうけどトゥルー的なものはないので、推奨攻略順もなし。
話は分かりやすく、押さえるべきところも押さえてあって手堅く面白い。
同じ会社の過去作「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」「最悪なる災厄人間に捧ぐ」は、根本の世界観に納得できない部分があったり、プレイヤーの不快感をやたら煽るシーンもあったりしたけど、本作はそのへんのストレスがかなり緩和されていた。
アクが弱くなったとは言えるものの、物語の根底にある思想は変わっていないので、過去のウォーターウェニックス作品が好きだった人にも、過去作は合わなかった人にも勧めやすい。
バトル要素があり、分かりやすい熱い展開が用意されているのも嬉しいポイントですね。
難点を挙げるとしたら、キャラクターの情報がデータ的に見られると嬉しかったかな。
本作のキャラクターはゲーム内と外の二つの顔を持っていて、そこにギャップを持つ人も多い。登場人物が多くなると事情を忘れちゃうキャラクターもいたので、プレイヤーに開示された情報をサッと確認できるページがあるともっと良かった。
ADVでキャラクターデータが見れるゲームだとFate/stay nightとかかな。そういうのがあると助かった。
イラストとボイスのクオリティに多少の差があるので、気になる人はいるかも。
私は気になったけどプレイに支障はない範囲でした。
以下ネタバレあり感想。
「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう(以下「行き逝き生き」)」「最悪なる災厄人間に捧ぐ(以下「さささぐ」)」についても多少のネタバレがあります。
キャラクターの個別エンド順はオリーブ→アルティア→カトリン→コロネ→ルゥ→アレグロ。
個別エンドの好みはアルティア=ルゥ>オリーブ=コロネ>カトリン。アレグロについては好きすぎるのもあり正常な判断ができないので棚上げします。さささぐで言うリーダーと同じ枠。
しかし個別エンド持ちの6人のうち、心身が女性なのはオリーブ・カトリンの2名であとは男だったり性別がなかったりするのか。ヘテロ恋愛ゲームじゃないから妥当だけどちょっと面白いな。
○世界観
一番懸念していた。そして杞憂に終わって安心している。
個人的にウォーターフェニックスのADVの一番の弱点が世界観、もっと言うと神の存在だと思っていた。私が通しでプレイした行き逝き生き・さささぐ共に神の扱いは気に入っていない。一神教っぽい世界観のくせにその神が妙に弱く、それでいて神殺しの物語にはならないので違和感が強いのが好きじゃない。
でも、本作はそうじゃなかったので良かった。
本作を語る時に「神」はいくつかの意味を持つ。
・アルティアたちの種族が持っていて消えてしまった「神」
・ルストらが住む地球の環境を、生命が発展するほどに育てた「神」=アルティア達種族
・神のかけらを全て集め、モンスター化を防ぎ集合的無意識となった地球の「神」=スティ
アルティアらが持つ「神」だけ曖昧さを感じる人がいるかもしれないけど、私はそんなに気にならなかった。私の持つ神観に近かったからかも。
あとの2つは神、というより「神のような力を持つ者」とも言えますね。
ポストアポカリプス系の物語はどうしても「当座の危機を逃れたり原因となったものを撲滅したところで滅亡は免れない」命題と付き合うハメになるんだけど、本作は原罪病の流行によって大多数がハイバネーション装置に入っているので、彼らが現実で目覚めて動けばOK!という解決方法があって良かった。
割と力業な感じはあるけど雑さは感じなかった……力業だけど力業しか道はないと納得できたのかも。
○システム
キャラクターデータが見たかったです!!
私が細切れにプレイしていたのが悪いと言われれば完全にそうなんだけど、リア・ドムの思想を途中で忘れちゃって困った。リアがなんでハイバネーション装置に入ったのか・ドムは単純に不老不死大好きってことでいい(要は悲劇的なバックボーンとかは特にない)んだっけ? とかが分からなくて悲しかったので、データで欲しかった。
キャラクターシートみたいな感じでもいいと思う。個人的に物語の進行に合わせてデータ面が変わる演出が好きなので、そういうのが見たかったのもある。
INDEXで都度戻って読むにしても、物語が持つ情報量に対して索引数が少なく、特にドムの事情については物語上の重要性が低いので、INDEXを見てもどこを読み返せばドムを理解できるかが分からない。
INDEXがもっと細かかったらもっと嬉しい。具体的には「JUDGEMENT7 俺達の世界わ終っている。」はフローチャートが異常に細かいので、このくらいのボリュームと情報量があるならこのくらいでも良いと思います。
それ以外の大きい不満はなし。
あまりゲームの設定をいじる方じゃない(コントローラーの振動をオフにする程度)だから見落としかもしれないけど、ゲームプレイ画面からボタンひとつで操作できるショートカットがカスタムできると良かったかも。
各エンディングを見る時に既読スキップを使うんだけど、メニュー呼び出し→SKIPを選択→スタッフロールが流れたらRボタンでスキップ の工程を踏まなきゃいけなくて、少しだけ煩雑に感じた。少しだけではあるけども。
他は特に支障なくプレイできた。バグや誤字も見当たらず助かる。
○音楽・ボイス
舞台がゲームなんだからそうなんだけど、BGMがあまりにもゲーム感が強くて面白かった。ゲームであることの主張が強い(悪いと言ってるわけではないよ)。
BGMはどれも状況や雰囲気に合っていて、過不足なかったと思う。
個人的な意見としては、エンドリスト一覧のところで再生されるBGMが中庸~バッドエンド寄りっぽい音に聞こえていて、バッドエンド後にエンドリストに飛ばされる分にはいいんだけどクリア後の個別ルート後にエンドリストに飛ばされると後味に寄与しないのでそこはマイナス。スタート画面の音楽で良かったんじゃないかな。
ボイスは私の好みの問題でイマイチに感じる人が多かった。
私は女性の高くて細い声があまり好きではないので、クリスティンたち・チュラル(ルゥ)の声がイマイチ好きではなかった。さささぐで実力は十分理解している小鳥遊ゆめさんの声もコロネちゃんモードすぎる時はあまり…だったので、これは技量ではなく好みの問題です。
ルスト・オリーブあたりも演技がイマイチか? と思ったけどのめり込めば気にならない範囲。というかこの二人は登場してからしばらくは人間性が希薄なので、棒読みっぽく聞こえる喋りが素とも考えられる。
モブは明らかに技量が足りていない人がいたけどモブなので問題なし。
一番好きな声はローザ。抑揚がハッキリした喋り+甘い中にドスが感じられる声が好みだったのを加味してベスト。
○イラスト・グラフィック
良いものもあればそこまででもないものもある。
好みの問題で言えばアバターキャラはそこまで好みじゃない。どうしてもアバターはデザインがシンプルになってしまうので、アニメ塗りみたいに割り切ったシンプルさがあっても良かったのかも。とはいえそこは問題ではない。
イラストのクオリティに差があり、キャラクターの重要度とクオリティの勾配が一致していないのが良くないと感じた。
具体的に言うと、ローザが異常に可愛い。ゲストイラストレーター呼んだのか!? と思うほど可愛い。
あとはバジルさんも好き。設定資料を見ると「口が大きい」とあるけど、個人的には見開いたような大きい目が好き。まばたきしなさそ~~な顔。
男性キャラは全体的にイマイチ率が高いけど、美少女メインのゲームなのを考えれば別にいいかな、という感じ。個人的にはルストの顔まわりがもっちりしすぎているので、もう少しシャープな方がいいんじゃないかと思う。男性キャラは女性と比べて首が太くなりやすく、そのせいで体型の差が分かりにくかった気がする。でもガイオが筋肉はありつつ細身っぽい体格だったのは最高だと思いました。
女性キャラで言うと、クリスティンが割を食ったな、というのが率直な感想。
クリスティンはワンレンのストレートロング+無垢さを象徴する白ワンピで、かなりシンプルな服装。
対するアキアカ内の女性キャラクターたちは衣装のバリエーションが多く、メインカラー以外の色も取り入れられている。コロネちゃんの茶+緑+ピンクとか、オリーブさんの同色青でない青系統のカラーリングとか。
ただ、クリスティンはとにかく白! なので、他の女性キャラと並ぶと色の少なさで見劣りする。
途中で衣装チェンジはあるものの、顔まわりのデザインはかなりシンプル+衣装も他キャラと比べて装飾は少ないのでその辺の問題はあまり変わらない。
じゃあクリスティンのキャラデザをもっとリッチにしたり、装飾を増やせばいいのかといえばそれは……違う……!
クリスティンと同じくほぼ一色デザインなのはGMモードのアルティアさん(白ティアさん)だけど、こちらはあまり見劣り感がないんだよな……。
無機質さの演出で髪の流れが他キャラと比べてはっきり描かれている+白に薄い緑グラデがかかっているので完全な白ではないからかな。
さささぐのクロは黒一色デザインだけど見劣りをあまり感じなかったし(比較対象がいないからでもある)、クリスティンのテーマカラーにもう一色何か足しても良かったんじゃないかな。水色とか。
キャラデザや立ち絵的な不満はあるものの、イベントCGはどれも気合が入っていて良かった。
一番気に入っているのはカトリンの泣き笑いの表情。エンドリストのカトリンルートのサムネイルや、アキアカのセール情報のツイート時の添付画像にもなっていて、見た瞬間やっぱこれだよなぁ!!と思ってテンションが上がった。
あとはアーシャル様とルゥが背中合わせでトランプ攻撃を仕掛けるイベントCGも好き。
イラストを描かれたR氏のTwitterを見ていると絵のクオリティが高く、アキアカ発売後にイラスト作業があった(と思われる)行き逝き生きもビジュアルが良かった。
クリスティンをいまいちに感じたのは、単純にアキアカのイラスト作業順がクリスティンが先で、作業中にR氏の技術が上がったのでは??と思っているよ。
R氏の光沢の描き方が好きなので、白一色+衣装に金属がほぼないクリスティンで強みが出しにくかったのもあるのかな。
行き逝き生きやTwitterでのイラストを見ていると、今のR氏ならクリスティンをもっと可愛く描けるだろ!!と思えて悔しい。
ただ、プレイしていて見応えのあるイラストは後の方に出てきがちなので、不満は抱くもののプレイしていて集中力を削がれることはそんなになかった。可愛すぎるローザが出てきた時はびっくりしてちょっと手を止めちゃったけども。
○ストーリー
大枠で不満はない。
印象に残ったのは、ルストが複数のカードを操る訓練をするシーン。
アキアカのゲーム内容は私たちの生きるこの世界には「ない」のに、すごくそれっぽい理屈がついていて訓練の内容も納得がいくのは凄いことだな~~と思った。序盤でアレグロが言う共感率の上げ方の分析型・憑依型とかも、演技論的にもそうだし実際にアキアカが存在するならそういう分類もあるだろうと想像がつくけどそれが破綻なく描かれるのはやっぱりすごいな~と思った。
あと単純に設定がシンプルで分かりやすい。さささぐが設定が煩雑だったぶん覚悟していたので安心した。
というかプレイヤー各々が持つアニメ・ゲーム的知識と紐づけて覚えやすい設定なんだろうなと思った。記憶カードの共感率はエヴァのシンクロ率、神のかけら=ドラゴンボールとかローザミスティカみたいなことか? みたいに、設定の根幹に特異性が薄いおかげで自分が知っている作品と紐づけた認識を持ちながら話を進められるので、設定が完全に迷子にならずに済んだのは嬉しかった。
ただGMコールはあまり出て来なくて忘れがちなので、キャラクターデータと同様に用語集もあった方が便利だったとは思います。
上記の共感率の分析型・憑依型もそうだし、冒頭の脱水症状やバトルコーナーで遊びすぎてのバッドエンドみたいに、ルストが生きる世界を考えて物語が作られていると思えたのが嬉しかった。
割と勢力がゴチャゴチャしていて、初手でアレグロが説明してくれる以外は全体の勢力を見渡す場面はそんなにないんだけど、戦力的に弱いところから順番に対処していく感じなのでそこまで混乱はしない(忘れることはある)。
それでいて「次のターゲットを潰す」的な作業感、淡々とした雰囲気がないのは、ドム&リアさんの存在もあるのかな。ドムさんはいけ好かない奴~~と思っていたけど、性質がタフなので仲間になった時の心強さがかなり良かった。
下げては上げての物語性質なのは分かってはいたんだけど、アレグロによる神々の使徒虐殺の後はだいぶ絶望色が濃く、どうしたらいいのか途方に暮れていた。まさかあそこから入れる保険があったなんて。
ウォーターフェニックスのファンとしての意見を言うと、今回はキャラクターが多く、そのぶんコメディチックになるシーンが多くて嬉しかった。
行き逝き生きはストーリーの短さもありコメディなし、さささぐは多少は笑いどころはあるけど全体的にそれどころじゃないのに対し、アキアカは完全に緩むシーンがあって良かった。
気に入っているのはスティによからぬことを吹き込むコロネちゃん・次に攻め入る場所の選択肢で水没都市を選ぶとガチトーンで謝罪してくるアレグロ・コロネちゃんにドン引きするオリーブあたり。というかコロネちゃん(翔太)とオリーブの組み合わせが姉弟っぽくて好き。
回想シーンは多めだけど、モンスター化→解除のための回想のパターンがほとんどなので、シーンの遷移に強引さはあまり感じなかった。作中での時間経過は結構あると思うんだけど、時間がシビアになるシーンが限られているので特に気にならなかった。
ラスト、原罪病がなくなり、肉体が残っている人間は全員ゲーム内で蘇生=現実でも蘇生するエンディングはかなり丸く収めていて良いと思う。
人によってはここでご都合主義を感じたり、ダークケルベロス等も蘇生したことに手ぬるさを感じるのかも。ただ、作中でルストらが成し遂げたことはそれに見合うだけのことだし、ダークケルベロス問題も本編で語られた通りモンスター化できちゃう環境が悪かったと思っているので私的には問題ないです。
ここで一足飛びに現実世界が復興してたら最悪だったんだけどそういうこともなく安心。ウォーターフェニックスのシナリオの長所として、時間はかかるけど努力で何とかなるところは時間をかけて何とかさせる方向に話が進む強さがありますね。そこがかなり魅力的。妙にどっしりしているというか。
○キャラクター
ダントツで好きなのはアレグロとコロネ。ドムさん・カトリンは最初あまり印象が良くなかったけど徐々に好きになっていって、結局最後はアレグロ以外全員横並びで好きになった。
ドムは特に過去の事情や思想をおおかた忘れた状況でも横並びで好きなので、プレイし直したらもっと好きになるかも。
印象に残らなかったのはシンゲツ様。日輪騎士団編は登場人物が一気に増えるから印象が薄い……エリオットは私のことめっちゃ殺してくるから覚えてるよ♡
明らかに敵orモブみたいな書き方のキャラ以外で嫌いだったり興味が薄いキャラはそんなにいない。なんならキャンディさんのこともだいぶ好きだな。
ローザも悪役側に回るし作中での行いは洒落にならないんだけど、医療関係者で原罪病と向き合い続けて心がぶっ壊れたと思えば理解できる。特に今は新型コロナウイルスで世界が大変なので猶更。
以下、ルスト+クリスティン+個別エンド持ち6名に対する感想。
○ルスト
ウォーターフェニックスの主人公っぽい! と思ったのは、虚無への憧れを得て以降のスティに対する反応が豹馬くんに似ているからかな。こういうヒロイン溺愛保護キャラがウォーターフェニックスの標準主人公なのか!? 答えが知りたいので結婚主義国家をプレイしよう!
とはいえコーラが好きだったりアルティアさんの体に興奮したり(これはルストの好みに合わせて体を作ったアルティアが悪い)、スティと関係ない好悪が出るあたりはクロしか見ていなかった豹馬くんとはだいぶ違う。豹馬くんより人間っぽいですね。
クロがスティの立場(アキアカ世界にしかいない)だったら、豹馬くんはゲームクリアを阻んで世界の保持とかしそう。
アレグロに善の代表と見立てられるだけあって、理想主義ではある。
ただオリーブさんの裏切りに殺意を抱いたり本編でも仕方ない場面ではあっても殺人は犯したりしているから、清すぎる印象がない。普通の世界になったら普通の善人として生きられるんだろうと思っているよ。
○クリスティン
基本的にスティの話。
前にプレイ日記でも書いた通り、自我の確立とともにルストへの依存度が下がり、登場人物が増えたことで相対的に出番が減ってやや影が薄くなる。
とはいえスティにはルストと手を繋ぐ役目があり、最後には神にもなる。二人きりの旅じゃなくなった後もずっと一緒にいてくれる存在なので、一緒にオセロをするシーンも急ではなく切なさが残って好き。
○カトリン
おい!!大丈夫か!?
設定資料集でも語られていた通り作り笑いが多く、大丈夫じゃない笑顔と笑い声が心配になる。
日輪騎士団でのいじめ描写、さささぐで心をえぐられた人が同じ傷をえぐられない? 大丈夫か!?私は大丈夫です。
持っている能力の高さもあり、工業都市エリア冒頭で助けてくれた印象が強いのもあってすごく助けてくれた人、のイメージ。現実では病弱なのもあり、恋愛的な側面でのヒロイン力がアルティアに並んで高い。
ただ個別エンドは……これは……大丈夫か!?
カトリンエンドが唯一ルストがハイバネーション装置に入るエンディングなので、そこだけ切り取るとなんかメリーバッドエンドの雰囲気がありますね。でもそうじゃないのは分かるのでここは大丈夫。
気になったのはカトリンエンドを選ばなかった場合のカトリンのこと。
仲間が抜けて精神がボロボロのままアキアカ世界で生きていくことになること。大丈夫か!?
他の個別エンド持ちキャラはルストがいなくても何とかなるけど、カトリンだけはどうしようもなくない? どうなの?
いや精神がボロボロになっても時間が経てば立ち直れるだろうとは思う。ただ、その場合カトリンは両親からの手紙も受け取れず、両親が自分を見捨てた可能性を頭のどこかに置きながらヒトより長い生を過ごすわけで……地獄!!
とか思ってたらあまり集中できなかった。
デザインに特異性はなく、言っちゃえば普通の女の子っぽさが強いんだけど見た目のファンタジー色の薄さが作中では良く目立つのでやけにかわいい。
イベントCGの可愛さが鮮烈。全部可愛い。
○オリーブ
カトリンと同じく心身ともに女性。
ただカトリンは本編~各エンド時点ではハイバネーション装置の外に出られず現実で活動できる肉体が無いとも取れるので、肉体がある女性はオリーブだけとも言える。
ルスト・アレグロのモンスター化時には一人でカーラを何とかするなど、見た目に反して肉体的ガッツがあるのも好印象。
親(教祖)によって歪められた点は大いにあるとは思うものの、記憶カードのネーミングセンスなどの素っ気ない部分は彼女生来のものなのも気に入っている。雑というか素っ気ないというか、良い意味で女らしくないのが可愛い。
終盤、コロネの本性を知ってからはコロネちゃんにドン引きしたり現実でもサボりたがる翔太とやりあったりと、かなりコロネ(翔太)との関係性が良い。
個別エンドでの口調矯正でも絶対にコロネちゃんを讃えないのが良かった。
○コロネ(翔太)
モンスター、コロネちゃん、そして翔太と、見せる側面がかなり多い。
それでいて終盤までずっと成長がなく、精神は変化しても目指すべきところは大体同じなのが好き。
そもそも女じゃなくていいだろ、という域に行けたのもひとつの成長の形なので良いと思います。
本作は個別エンドも別に恋愛ってわけではなく、コロネエンドはそのへんのバランスが丁度良い。
家事の担当が増えるのが嫌なのか?とかも初期コロネなら嫌がりそうだし、何よりルストから逃げ回るコロネがいちいちニンマリするのが超かわいい。クソガキ感がやっぱりこいつは弟だなと思わせる。
アレグロ側に寝返ってからは現実でもアキアカでもアレグロにかなり依存した暮らしをしてそうだな~と思う。アレグロ、大変だったね……。
アレグロに寝返る時もルストに自分の本当の目的は話しちゃうのが好き。
これはルストがアレグロに本当のことを言ったとしても問題ない(本当に分かり合えているわけじゃないことが、アレグロとコロネの間に暗黙の了解としてあるから)のもあるんだろうけど、ルストに素を見せたことで、自分の本心を誰かに明かすことの喜びを知ったのかもな~とも思えて好き。
○アルティア
ルストとの恋愛という意味ではどのキャラよりもリードしていると思っている。アレグロとの決戦前にアルティアさんを選択すると、その後のシナリオでの名前表記が「アルティアさん」から「アルティア」になるのが嬉しいですね。
アルティアさんの外見は100%ルストの好みなので、恋愛的にリードしていても当然ではある。アルティアさんの胸ネタを振られたルストの内心が性欲強めで、他キャラには欲求を出さないくせに急にどうしたのかとは思っていたけど外見がストライクなら仕方ないっすね。
恋愛っぽい印象が強いのは個別エンドの影響がかなりある。
二人で星空を見上げる、しかもその星空はアルティアがルストのために造った!!!! ロマンチックすぎてクラクラしますね。
なんか恋愛がメインとなるゲームのトゥルーエンドっぽいな、と思っていたんだけど、他の個別エンドとは違って、アルティアさんはアルティアエンドを選ばないと会うことすらままならないからかもしれない。
とはいえ、物語の核心そのものとも呼べる存在なので全編通した時のヒロイン力はカトリンの方が強い印象。カトリンはずっとヒロインでアルティアさんは要所ヒロイン。
回想が一番つらかったのはアルティアさんかな。次点でアレグロ。
虚無の憧れを持つからこそ調査に回された時にはしゃぎ、それが空回りするのが凄く痛々しかった。鳥を見たい、果物が美味しい、みたいなプレイヤーからすれば当たり前の感性を否定され続けて、それを封じた先でルストに出会えたことはかけがえのないことですね。アルティアさんの持つ物語の美しさが好き。
○ルゥ
ルゥはアーシャルとの関係性の強さがとにかく好きなので、個別エンドがあるのが意外。
ただ個別エンドの内容はかなり好み。前向きに死を望むし、実際にGMだからルゥが消滅することはヒトの死とは違った意味を持つので「殺して」を素直に受け入れられる。過去に言われた「殺して」のリフレインもあり、エンディングとしてかなり好み。
アーシャルと共闘する際にアーシャルが言う「今だけはお姉ちゃんと呼ぶのを許してあげる」もだし、アーシャルがルゥを恨むのではなく「それだけチュラルが優れていたこと」と誇るなど、ルゥの思い出を考えるとアーシャルの魅力が際立つ。この二人については魅力を切り分けて考えることが困難で、ルゥの話をしようとするとアーシャルの話になってしまう部分はある。
○アレグロ
物語が進むごとに見える顔が変わる、という意味ではコロネ(翔太)にも近い。
ただ、翔太の上にコロネのレイヤーがあるコロネ(翔太)に対して、アレグロは見せる側面が表裏一体だと思う。
ルストを見失ってギャグ化一歩手前までうろたえるのも、カーラを使うモンスター化をしたいと思うのも、他の色んな側面も全部アレグロの中から自然と生まれたものなんだな~と感じる。
一貫した意見と強さを持っている人で、精神の支柱がカーラ一本だからこその脆さも持っている。そういうギャップが凄く好き。
プレイ中、ゲームマスターとの戦いの中でアレグロがドムによってゲームオーバーしたシーンはすごく切なかった。
アレグロが好きなオタクとしてはアレグロに生きていて欲しかったけど、彼の意思が歪まなかったことは嬉しい。
……でも生きててほしかったよ~~!!とか悶えながらプレイしていたら蘇生したので嬉しかった。
共通のエンディングでも個別エンドでも、アレグロが目を覚まさずにゲーム内を放浪するのは同じ。
個別ではアレグロが見付かってENDかと思いきや見付からなかったのは少し驚いた。
ただある程度は仕方ないかな~と思っているのは、アレグロは現実では虐殺者なので、状況を加味しない場合の罪が重すぎるのはあるかも。
一応オリーブがクリスティンを実質的に殺したり、ルゥがGMとして人を死に追いやったりはしているんだけど、作中で殺せば死ぬ肉体に手をかけたのはアレグロとルストしかいない。ルストは正当防衛で一人だけどアレグロは原罪病によるとはいえ使徒全員をむごく殺しているので、そこで簡単に救いを得るのは違うと考える人もいるんじゃないかな。
個別エンド後、いつアレグロが見付かるかは明言されていないので、アレグロの罪が軽いと思う人はすぐ見つかったと解釈できるしアレグロを許せない人はカーラとルストが死ぬまで見つからなかったと考えても良い、という余白を残したんだと解釈している。
何より原罪病にかかったカーラへのアレグロの献身としてこのエンディングの対比があることは美しいので、いちオタクとしてはアレグロと再会したかったけどこのエンディングに納得もしている。
……アレグロエンド観終わった後、寂しすぎてアレグロと添い遂げる(語弊)バッドエンド5を観返しちゃったけどね!!
これはキモ・オタクの妄言だけど、アレグロエンド内で語られた通り、アレグロがいつ見つかるか分からないから二人の現実での歳の差を任意で決められるのは嬉しすぎるな……と思いました。妄想の余白が広すぎて二次創作オタクに優しい。
私はルストとアレグロの関係性に愛を見出しているので、そういう方向で色々と妄想をしているよ。
○
良くも悪くもウォーターフェニックス的なアクが薄い作品なので、そこをどう感じるかは人によるかも。
ただ私はポジティブに捉えています。アレグロに出会えたこともそうだし、内容が重くボリュームも大きいさささぐ・コンパクトだけど内容が重い行き逝き生きに対して、内容は【比較的】軽くてボリュームは大きいアキアカは、ウォーターフェニックスを紹介する時の良いフックになってくれそうだと思う。
……コンパクトで軽い枠は結婚主義国家に担ってもらうことになるのかな。あれも生死には関わる話だから軽いと言うのもアレだけど。
多少の不満点はあるものの、イラスト・テキストいずれの質も過去作と比べても高く、すごく満足した。次作も本当に楽しみ。