るーむ私記

プライベーーートなブログです

【感想】Caligula2:前作の不満は解消&魅力大幅アップの正統進化作!遊んで後悔しない名作

本編クリアに32時間、クリア後要素に14時間ほどかかり、総プレイ時間は46時間。

本編は難易度NORMAL、やりこみ要素はEASYでサクッと終わらせました。全編女性主人公です。
とにかく遊んで良かった!!の一言に尽きる。前作の魅力を拡張した上で不満はことごとく解消されており、より多くの方に魅力が届きやすい形になっていて嬉しい限り。
特に前作(私の場合はCaligula OverDose)やアニメ版・ノベライズに親しんだファンほど嬉しい仕掛けも用意されていて、前作で苦労したこともひっくるめて良い思い出に変わった気分。

以下ネタバレあり。
関連作(Caligula OverDose、アニメ版、ノベライズ版)のネタバレも含みます。

「丁寧な改善」という、シンプルだけど欲しかったもの

とにかくこれ!前作で気になったところが軒並み解消されている!!
私が前作で特に嫌だったのは「バトルがつまらない」「ダンジョンに無駄が多くてイライラする」「ストーリーごとの繋ぎがぶつ切り」の3点。

バトルがつまらない→カウンター&コンボの快感が止まらない

バトルは終始マニュアルでプレイして、敵の攻撃にカウンターを仕掛け、適切なタイミング調整でコンボを繋ぎ…のループがとにかく快感。
RPGのバトルに興味が無くてもこれだけ楽しめるのは珍しく、都度イマジナリィチェインを見るのも手間ではなく楽しみとして受け入れられた。

おおむね良かったんだけど、状態異常の具体的な内容がチェックしにくかったのは明確に不満。
毒・魅了・拘束など、ゲーム経験があれば普通に理解できる状態異常しかないので良いっちゃ良いんだけど、毒の場合はどのタイミングでどのくらいのHP減少があるのかなどが不明だった。
理想を言うと、戦闘中はボタン操作なしで状態異常の具体的な説明が見られると一番嬉しい。ただそれだと画面がゴチャつくので「詳細」みたいなボタンを置いて、ボタンを押せば状態異常が見られる…とかでも良かったかもしれない。

ダンジョンに無駄が多くてイライラする→迂回路がシンプルに減少、ギミックは楽しめるものに

#QPがフィーチャーされる学園の特別棟エリアは前作を彷彿とさせる迂回多めのダンジョンなんですが、逆にそれ以外は面倒くささを感じなかった。

根本的にRPGのダンジョンで迂回路を取らされるのは当然で、迂回路を取らされるプレイヤーの徒労感をどういう建て付けで軽減するかが大事。
その点で本作はダンジョンごとのギミックが違い、更にギミックに楽士たちの性質が現れていたので遊んでいて楽しかった。

特に楽士らしさを感じたのはムーくんのプラネタリアOKITAMAと、件の子安線~AMORE。
プラネタリアOKITAMAはムーくんのいる最終地点までの道は最初から通っていて、各階層のロックを解除することでムーくんに辿り着ける形。本当はシンプルで特別な能力を持たないムーくんが、虚飾でごまかしていることがダンジョンの構成に出ている感じで好き。
子安線~AMOREは定期的に敵が来るので、物陰に潜んで隠れる必要がある。ちなみにボタン押下で隠れるアクションを取らずとも、物理的に見えてなさそうな位置に移動するだけでクリアできます。
焦るし敵が散るまで待たなきゃいけないしで嫌っちゃ嫌だけど、件の性格が出ているので好意的に感じている。同じようなダンジョンが2つ以上あったら文句を言った気はするものの、件だけだったこと・件の性格に合っているので気に入っている。

何気にエピメテウスの塔が、全階層を上らせるのでなく適度に省略が加わったのも良い感じ。ダンジョンがコンパクトになったことで、プレイ中のストレスがかなり軽くなったのは嬉しい。

ストーリーごとの繋ぎがぶつ切り→かなり自然になり没入感アップ

前作の好きなところはシナリオで、嫌いなところもシナリオ。
個々のキャラクターエピソードやストーリー全体を俯瞰すると面白いのに、各章への繋ぎは「(次のダンジョン)でμがライブをするらしい、行ってみよう!」ばかり。更に楽士と対応する帰宅部員にスポットを当てすぎて、スポットが当たらない帰宅部員の存在が希薄だと感じる場面も多かった。
それでも魅力がある世界観と物語だったのは事実だけど、本作はそうした欠点を補うシナリオだった。

章ごとの繋がりが自然なことがまず嬉しく、楽士に対応する帰宅部員へのスポットも自然な形。
楽士と帰宅部の対応は、マキナ―ささら、パンドラ―切子、ムーくん―吟、#QP―小鳩、ドクトル―劉都、クランケ―鐘太、件―二胡となっている。ブラフマン・リグレットと茉莉絵・主人公との対応は微妙なところだけど、ここは別枠というか考えなくても良さげ。
スポットは上記の通りに当たっているんだけど、あまりダイレクトに存在感を強めているわけでもないので、ご都合っぽい感じは薄い。
あとは前作は楽士が帰宅部員に執着する形が徹底していたのに対し、本作は帰宅部員が楽士に執着を見せることも多かったので一辺倒に感じなかったのかも。

楽曲:歌がうまい声優を探す能力が一級品か? 祈っているだけが大好き

アイドルマスターミリオンライブを遊んでいた時期があるので、リグレット役・香里有佐氏の歌唱力は知っていた。
なのでバーチャドールとしての存在感がμから劣ることはないのは分かっていた。期待通り、圧巻の歌唱力で終始楽しめた。

特に気に入っているのは永遠の銀・オルターガーデン・祈っているだけ。


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永遠の銀はプレイ中に聴いた時は普通くらいだったけど、少し時間を空けてから聴き直したらメチャクチャ良い曲でびっくりした。オルターガーデン・祈っているだけは一聴しただけで惚れた。こういうシリアスで感情がむき出しになった曲が好きです。

Q愛セニョリータを初めて聴いた時は、声が可愛すぎてこれリグレット!?と驚いた。かわいい声なのね……好きです。


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私は前作の曲の中でもコスモダンサーが好きなので、リグレット版が聴けたのもハッピー。

キィの歌い方やアレンジの仕方は意図的にリグレット版から変えてると思うので、ここは好みの問題。私は声質的にリグレットの方が好みだけど、帰宅部と出会い、感情を知り、ヒトの想いを背負うと決めたキィが歌うOrbitは涙が出そうなほど美しい。

感性の問題で、本作は前作よりも好みにマッチする曲が嬉しい限り。

どうでもいいしオタクが既に百回言ってるだろうけど、祈っているだけのサビ「コーリンコーリンユー」を、渾名が「こーりー」の香里さんに歌わせるのはちょっと面白かった

イラスト&グラフィック:おぐち氏の美麗イラストは健在。3Dは特筆事項なし

まず良かった点から話すと、2Dイラストのクオリティは前作通り美しい。
私が前作をプレイした理由は、μの真っ白で神様然としつつ少女らしい無垢さを兼ね備えた姿に惚れたことも大きく、2Dイラストのクオリティは本作に期待するものの一つ。
なので、キャラクターデザインにおぐち氏が続投したのは本当に嬉しい。

個々のデザインも印象的なものが多く、帰宅部員だと二胡・鐘太のカタルシスエフェクトは顔まわりの変化が大きくて印象的。切子は髪型だけ現実と違う、という設定で、確かに顔の造形が異常に整っていると感じるので面白い。前作に引き続き女性主人公が格好いい系の造形なのも萌え。

楽士のデザインも様々で、何も知らなければ大人しくて綺麗なお姉さんなのに、内面を知ってからだと女オタクの服にしか見えないパンドラがデザイン的にはお気に入り。
ブラフマンは仮面から人間の毛髪が出てるし、リグレットも正面向きだと天使だけど角度を少しズラせば輪も羽も偽物だと分かるのも面白い。この二人は「正面から見れば本物、角度をズラせば人間味がダダ洩れ」の共通点があって、二人らしさが良く出ている。

ムーくんダサくねえか?とは思ったけど、ムーくんの内面などを考えれば多少ダサいくらいが妥当なのかも。

開発会社がフリューのゲームに3Dグラフィックの質は求めていない。クオリティは高くはないけど、事前に分かっていたので文句はない、が適切な感想。
リグレットが感情を見せない性格だったのもあり、何かと顔の出るリグレットの3Dが無表情なのは違和感が薄くて良かった。
逆に、表情豊かと思われるキィ・二胡は3Dの表情の変化のなさで割を食った形。これはまあ……仕方ないっすね。

キャラクター:『後悔』をフックに描かれる多様な生き地獄

前作のメビウスに続き、リドゥは後悔を抱えた人間のための理想郷。
メビウスと異なる点もありつつ基本思想は同じで、前作をプレイした時に感じた世界観の魅力は健在。

リドゥに反逆するスタンスの帰宅部員たちは、みな後悔を抱えつつも現実へ帰ることを決意した。
その判断は言ってしまえばお行儀が良く、道徳的規範に則った考え。それでいて偽りのリドゥは理想であり現実は地獄なので、勧善懲悪をやるには物語がねじれていて面白い。

特に、二胡と茉莉絵の存在が、帰宅部の物語に深みを出している。

二胡は、現実では家族から必要とされていない。
双子の妹・二胡の死と自分の言動がきっかけで両親を壊してしまった後悔から、リドゥでは二胡として家族と楽しく過ごしている。
二胡のリドゥでの行動基準は「二胡ならどうするか」なので、前向きにポジティブに帰宅したがるけど、二胡を演じる一織は、帰宅に強い恐怖を感じている。

茉莉絵は、現実では救いがない。
脊髄損傷による植物状態で治癒の目はない。寿命は平均よりちょっと短いくらいだから数十年はそのまま生き永らえる。しかも自業自得とはいえ茉莉絵の生存を願う人間は現実にはおらず、仮に目覚められたとしてもリドゥでの茉莉絵でいられるとは限らない。

加えて茉莉絵はリドゥの元となったミクロメビウスの住人で、茉莉絵を殺せば諸々の事情をすっ飛ばして帰宅部の目的は果たされる。

小鳩の苦しみも好き。
#QPもそうだけど、シンプルな時間ロス系の後悔はその後の人生がどうあっても絶対に取り戻せない。後悔すればするほどバーチャドールの泥沼に足を取られる…現実に帰っても続く生き地獄が想像できて、「理想<おまえ>を殺して現実<じごく>に帰る」の考えが通底しているのが非常に好みに合った。

ブラフマンとリグレット、二人は同じだからこそ噛み合わない

ブラフマンの持ち曲はLucidっぽいけど強烈なLucidフォロワーってこと? でもささらさんが「Lucidの曲に聞こえる」って言ってるってことは同一人物…??

などと思いながらエピメテウスの塔を進んで行って、判明した正体は思ったより悪質だった。

ブラフマンがムーくんのことを人前で「家永」とか呼んじゃうあたりに、ブラフマンの諸々を軽視する姿勢は出てたんだな…と後で気付いた。
棗がまた出てきたら興覚めだったので、ここが無関係な人間だったのは非常に良かった。

ブラフマンの持ち曲・xxxx/xx/xxはLucidが作った曲でブラフマンとは一切関係ないものだけど、「噛み合わない」「君がいない世界に意味はない」「世界を作り変えて/君と僕だけのエデンを」など、ブラフマンの心情としても読める内容な点も面白い。

そしてリグレットがブラフマンの正体にも、父親からの愛情にも気付いていなかったのがたまんねえ~~!噛み合ってない!!

偶像殺しの物語

リグレットは、人々の想いの重さに耐えられず、精神に異常をきたしてしまう。
リグレットは感情の総量に当てられた形。ポジティブ・ネガティブどちらにせよ人間が他人の感情を背負うことは難しく、それはバーチャドールであり人間ではないキィの役目。

ラストシーンはとにかく美しく、今でも思い出すと胸にこみ上げるものがある。
当初は人心を理解していなかったキィが人間を知り、しかし人間に「なる」のではなくバーチャドールにしか出来ない道を選んだのは、すごく今っぽくて良い結論だと思う。発売から数年経っていても、キィの結論は新鮮に感じられた。

現実に帰っても帰宅部のWIREは残って、みんなで茉莉絵に会いに行くのも爽やかさがあって好き。
切子を見た小鳩がギャーギャー言うんだろうとか、ささらさんの年齢に皆びっくりするんだろうとか想像が湧いて、無事に現実に戻れた人々に思いを馳せてしみじみした。

最後の最後、突き付けられるカリギュラ効果

おまけ要素にある楽士との再戦では、楽士らのプロフィールを勝手に読むことができる。
キィから注意もある通り、思いを通わせた結果として内面を知れた帰宅部員とは違い、楽士たちの内面は主人公≒プレイヤーが勝手に見るだけ。知ったところで何も出来ないし、勝手に見るだけだから後ろめたさも出る……この背徳感が味わえたことが嬉しい。

本シリーズではキャラクターエピソードを進めていると「(キャラ)の心に踏み込みますか?」と注意が出るけど、メタな話としては踏み込まないメリットはひとつもない。
むしろ心に踏み込まないと解放されないスキルもあるし、内容的にも最後まで読めば収まりが良くなるものなので、仲間の内心を暴くことの心理的な負荷は軽い。
そんな中、楽士たちの心に踏み込むことにはゲーム攻略上のメリットはない。ただ私が興味・欲望・好奇心を満たせるだけ。そのために彼らの隠していたものを暴いていいのか?という葛藤が湧く。
まあ暴くんですが。
この形式は、仲間のキャラクターエピソードよりも強くカリギュラ効果が意識される形で楽士のバックグラウンドが開示されるのは、私の露悪を突き付けてくれるようで本当に本当に嬉しい。

楽士たちの後悔は、本編で匂わせられていた通りの内容。
ドクトル・クランケの関係が思ったよりも苦しいのが印象的。ちょっとした行き違いから今の二人になってしまったように、ちょっとだけ違えば円満に恋人同士になる未来もあったんだろうなあ…と思えるのが後味悪くて好き。
悩みの軽重は人それぞれなので共感できるものもできないものもあり、件の後悔はかなり苦しくて胸が締め付けられる。似たような事例は私が生きる現実世界にも転がっているはずで、それに思いを馳せて苦しくなった。

クエスト:かなり遊びやすく改善!!WIREアイコンが色々で楽しい

前作のクエストはとにかく遊びにくく、早々にコンプを諦めてしまったけど本作は楽しい! やっぱり複数クエスト受注が出来てこそなんだよ…。
グループがあり、シリーズ的にストーリーが進むのを追うのも面白いし、おのおののWIREアイコンの実在感や、心に踏み込んだ内面を覗くのもカリギュラらしい楽しさが強い。

何気にパンドラの推しがリドゥにいたりと、気付くと楽しいネタも仕込まれているようで良い感じ。ちゃんと探してないけど、ブラフマンの妻・リグレットの母親もいそうな気がする。

クエスト達成に変なプレイを求められる感じもなく、クエストクリアのためだけに動いている時間がそこまで発生しなかったのは嬉しい。
本作はアイテムが購入できる場所が少ないのだけど、アイテムを求められるクエストはそんなにないので、トータルでは問題に感じなかった。

最後のクエストはポケットティッシュ集めでした

まとめ:カリギュラおもしろいからみんなやったほうがいいよ

発売前のファンダムの空気が気に入らなくて長らく敬遠していたけど、結論から言うと大満足!遊んで良かったです。

前作・クライスタ・モナークなどを通して、開発会社のフリューのゲームのゲーム性に疑いを持っていたのだけど、世界観やストーリー以外の魅力も強い本作の存在で気持ちが上向きになった。
もともとフリューのゲームの世界観には強く惹かれるので、今後も興味が湧く作品があったら遊びたいです。

みんなもやろう!カリギュラ2!!