- 恋愛漫画(≠少女漫画)が大好き
- 舞台が現実味のある現代日本であること
- 登場人物がセックスの当事者にならないこと
- 可能な限りキスをしないこと
- 好きな恋愛漫画の話(ネタバレあり)
- 森下suu「日々蝶々」
- オザキアキラ「ふしぎの国の有栖川さん」
- 篠原健太「ウィッチウォッチ」
- 木内ラムネ「月のお気に召すまま」
恋愛漫画(≠少女漫画)が大好き
少女漫画を読んで育ったので、少女漫画に多い「恋愛を主軸にした漫画=恋愛漫画」を好んで読む。
少年漫画然としたバトル漫画はあまり興味がなく、ジョジョですら「なんかどうでもいいこと(※波紋・スタンドバトル)をやってページを稼いでいますね」くらいの感想になる。オタクをやるうえで無視できない感性の欠損があるのでまあまあ困ってはいるのだけど、ここでは短所を補うのではなく長所を伸ばす方向で話を進めます。
ここで言う恋愛漫画は少女漫画とイコールではなく、男性がメイン読者のラブコメ作品・百合・BLも機会があれば読む。
ジャンルとして圧倒的に量を追っているので、自分の好みも明確だ。
きなタイプの恋愛漫画に出会った時の感覚は激烈なもので、何物にも代えがたい。心拍と体温が上がってその漫画の中に描かれる恋愛模様を想像するだけで脳がフワフワする。
恋愛漫画の好きな要素を示すので、そうなんだな~と思ってください。
*本記事で軽微なネタバレがある作品のリスト*
おかざき真理「サプリ」、原作・河原和音、作画・アルコ「俺物語!」、幸田もも子「ヒロイン失格」、中条比紗也「花ざかりの君たちへ」、小花美穂「こどものおもちゃ」
舞台が現実味のある現代日本であること
恋愛だけを見たいので、恋愛の周辺にあるものに認知負荷をかけたくない気持ちが強い。
なので舞台設定は私が知っている現代日本がマストで、もっと言うと私が理解できる場所(学校、特殊性のないオフィス、家庭など)が理想。
その点で言うと百合・BLは、登場人物の男女比が著しく偏る傾向にあり、男女比が偏る環境で過ごした経験がない私の視点では現実味が落ちるので「恋愛漫画」としての評価は一段下がる(恋愛漫画でないものとして好きな漫画はある)。
私にとって現実味が強い、男女比が半々くらいの作品でさえあれば、登場人物の年齢は問わない。
とはいえ高校生が主人公の作品が好みに落ち着くことが多い。これは私が作品にセックスが介入しない方が好みなのと、登場人物の年齢が上がると「お仕事漫画」の風合いが出始めて相対的に恋愛の旨味が薄れるからです。
豊島ミホ氏が昔のブログで「恋愛小説で仕事しすぎ(意訳)」と嘆いていたのは本当にその通りで、マジで恋愛だけをしていればいいのに……と思うことは多い。おかざき真理「サプリ」は面白いし恋愛もあるけどお仕事漫画の側面が強くて恋愛漫画の旨味は相対的に薄い(それはそうとサプリは好き)。
そういう意味で、登場人物が学生の方が恋愛メインになりやすいので、恋愛漫画としては好みのものが多い。稚気のあらわれか?
登場人物がセックスの当事者にならないこと
作中でメイン登場人物がセックスの当事者になると「恋愛漫画」としては読めなくなる。最終話で朝チュンするくらいならギリギリ大丈夫で、それ以外はおおむねアウト。
これは大事なのが「セックスの当事者になる」ことで、セックスをするのはもちろん、そういう流れになることも好ましくない。
具体的に言うと、以下の描写・表現が私的に厳しい。()内はそうした描写があった作品名です。
- 主人公カップルが、セックスについて話し合いをするがセックスはしない(俺物語!)
- 主人公がセックスをしようとするが断念する(ヒロイン失格)
- 主人公が性暴力を受けそうになる(花ざかりの君たちへ)
- 主人公がセックスをする可能性について第三者から示唆される(青に、ふれる)
あまり掘り下げると私がキモオタ処女信仰ユニコーンなのがバレそうなのでこの辺にしておきますが、とにかく主人公の身に、セックスが現実のものとして迫ることは全部避けたい。
とはいえ例外はあり、小花美穂「こどものおもちゃ」では主人公カップルがセックスを試みますがこれは普通に恋愛漫画として読めています。彼らの性知識がそんなになく、横槍が入らなくてもセックスに至らなかったと確信しているからか?
ちなみに主人公の身にセックスが迫ることは避けたいですが、主人公の相手となる男にセックスが迫ることも可能な限り避けたいです。つまりキモオタ童貞処女信仰ユニコーンってこと!?
そして主人公カップルの年齢が高いのに童貞処女だと上述の「私視点でのリアリティ」からどんどん逸れていくので、好きな恋愛漫画の方向としては学生モノがメインになります。
可能な限りキスをしないこと
キモオタ童貞処女信仰唇純潔主義ユニコーンってこと!?そうです。
私は恋愛漫画のセックスを見たくないので、キスが話の早い段階で済まされてしまうと、その後は「キスの次の話をするなよ……」と怯えながらページを繰るハメになる。単純に集中力を欠くので、キスは後になればなるほど良い。
ちなみに恋愛漫画には「キスしちゃったことから始まる恋愛」もあるが、これもそんなに良くない。清いか清くないかで言えば清い方が好きだからです。
好きな恋愛漫画の話(ネタバレあり)
以下、結末(または2024年2月時点での最新話)までのネタバレを含みます。
森下suu「日々蝶々」
1~5巻あたりのドキドキ感は一番強かった。くっつく前のお互いを意識しはじめた、これから両片思いになる人間の発する感情……嬉しい!!
特に序盤は主人公・すいれんの人間的成長に力点があり、人間的成長をしたから恋愛がうまくいく という流れになっているので、「恋愛漫画なのに恋愛以外の話をしている」感がうまいこと処理されていてgoodです。
全12巻、話としては11巻で完結して描きおろし集の12巻が出ているあたり連載中の人気はそれなりにあったんじゃないかと思うものの、最終話付近は慌ただしさがありそこは残念。
私のリビドー的にも、最後に進路の話とかしなくても良かったのに……というのはある(マジョリティ人気的に進路の話が重要なのは分かっているよ)。
オザキアキラ「ふしぎの国の有栖川さん」
日々蝶々の感想と大体同じで、主人公・鈴の人間的成長によって恋愛が進むので、恋愛色が損なわれないまま恋愛以外の話をしていて良い。
ただ本作は巻が進むごとに鈴のデフォルメ姿が増えたのは明確にマイナス側面だと思っている。頭身を保ってシリアスに恋をして欲しい。
全9巻のわりに登場人物が多めで、打ち切りの気配が強い。特に本作はお祖父さまが恋愛のラスボスとして据えられていたと思っていたので、お祖父さま関連がそこまで大きな問題にならず、問題解決後はお祖父さまがコメディリリーフになってしまったのも失望の要因ではある。
とはいえ絵の可愛さで言えばかなり好みなので、話の減点分をそこで補っている感じはある。
篠原健太「ウィッチウォッチ」
モリヒトとニコの恋愛漫画として読んでいます。
恋愛漫画として見ると話が進展しない回は多い。そもそも出番がない回(うろミラ回とか)もあるなど、恋愛漫画として見ると問題はないわけではないんだけど、コメディ能力が高いので特に気にならない。非恋愛漫画要素がシンプルに面白いので好き。
白眉は序盤の「モイちゃんはね、全然頼りにならないの(後略)」。順当にモリヒトの見せ場になっているシーンでモリヒト♡♡ニコとくっついて♡♡って感じになってる。
空から降ってきたニコをモリヒトが抱きとめるシーンも純然たる萌え。モリヒトが腰を下げて衝撃を緩和しているところがテクニカルで萌えです。この回はギャグとしてもラブとしてもとても好き。
キモオタ童貞処女信仰唇純潔主義ユニコーンの私ですがモリヒトとニコのキスはあまり気にならない。
理由としては、私がイヤなのはキスそのものではなくキスによって関係が進展しセックスの可能性が立ち上がることであり、モリヒトが目ぇ黒いままキスしても関係が進展したことにならないからです。
巻数はそれなりに出ていますが、恋愛ステータスを両片思いから動かさない手腕がとにかく素晴らしいです。
- ニコ:モリヒトに恋愛感情はあるが振られる不安から言い出せない(モリヒトの本心が分からない)
- モリヒト:恋愛感情はあるが呪いによってニコを友達としか見れない(自分の本心が分からないので、ニコの本心を知ろうともしていない)
- 周囲:お前ら付き合ってないんかい(モリヒトに恋心を自覚させたい・呪いを何とかしたいが間接的な方法しか取れない)
この膠着状態が長く続くので、恋愛漫画の美味しいところの味が長持ちして非常に助かる。
14巻時点では告白寸前までボルテージが上がったのに、15巻でまさかのニコが幼児化することでラブコメを停滞させたのはお見事の一言。あらゆる手を使って恋愛の足踏みが続くので、恋愛のドキドキは味わえるけど進展への恐怖は感じずに済む。HAPPY!!
木内ラムネ「月のお気に召すまま」
ギャグ強めのラブコメ。
設定・構成・キャラクターなどは既視感が強いのだけど、単純にギャグマンガとしてクオリティが高いので独自性を担保している。
主人公・歩が割とどうしようもない愚かちゃんなので、月が塩対応をしても特にヘイトが貯まらないのは面白い作り。
歩も月もお互いに性欲を抱いている感が強い・貧乳いじりがあるなど、私が苦手な要素も多いはずなんだけど、不思議と本作だと気にならない。絵がかわいいから?
少女漫画は線が細いせいで見せゴマに弱さを感じがちなところ、本作はギャグ漫画なので線がぶっとくなり味付けが濃くなることでおおむね解決している。確かにそれでいいんだよな。
— 木内ラムネ (@ra_mu917) 2024年2月14日
少女漫画がバレンタインに投稿する画像がこれなの、何??