普通に面白かったですね、と思うけど
王様戦隊キングオージャーの完結後、感想をネットで見たところ「良い部分も悪い部分も大きい」との意見が多かった。
ただ個人的には言うほど悪い部分は感じられず、あまり共感できる感想ではなかった。
普通に楽しかったし面白かった。確かに面白みが薄い部分もあるにはあった気がするけど、そこまで大きい欠点ってあったか?というのを真っ先に思った。
そんな感じで自分がどんな感想を持っているのか判断できないまま時間が経ち、爆上戦隊ブンブンジャーが始まった。
楽しい!!
わんぷりも楽しい!ガッチャードもすごい!ブンブンジャーも好き!今のニチアサぜんぶ面白くない!?ひろプリ・ギーツ・ドンブラが揃ってた時期みたい!!という興奮が胸に起こって、そこでやっと「キングオージャーあまり好きじゃなかったんだな」と理解が追いついた。
良かったところももちろんあるし、作品の瑕疵ではなく受け取り手の私との相性の問題もあったと思う。
ただ、どこが好きでどこが好きじゃなかったかは、書き残しておきたいと思います。
文句なしの第一部
まず、デズナラクとの戦いを描く第一部のクオリティは文句無しだった。
「民は道具」と言い切るラクレスに反旗を翻すギラと、そんなギラに力添えをする四王国の王。ラクレスを下しシュゴッダムの王となったギラ、そこに現れる六人目の王・ジェラミーと、スーパー戦隊の仲間集め~追加戦士加入までをソツなくこなしつつ、見応えのある物語が展開されたのは非常に強い。
ラクレスやデズナラクは悪人とは言い切れない造形で、勝利に余韻を残す形だったのがとても良かった。
そのうえで各王様たちと側近らの絆もほどよく描かれ、多様すぎる国の雰囲気を楽しむ序盤は分かりやすいキャラ加入回だけではない魅力が感じられる。
面白かったけど楽しくなかった
第一部に問題はなかったので、この微妙な視聴感の大部分は第二部に理由がある。
だからといって、第二部がつまらなかったかと言われるとそんなことは全然ない。
圧倒的スケールのダグデドはふざけた態度だからこそ強さが明白だし、ラクレスの過去などのヘイトを煽る要素もかなり大きい。
良い意味でカリスマがなく小物感があるからこそ、舐めた態度のダグデドにすら勝てない絶望感が視聴者や王様戦隊を襲うのは面白い。
デズナラクの方が真剣に殺し合いをしてきたけど、真剣にならないと渡り合えないってことなので、デズナラク<<ダグデドの能力勾配もかなり分かりやすい。
だからこそ撃破のカタルシスもあった……んだけど、不思議と作品全体を俯瞰した時の満足感が低い。
理由を考えていて、楽しさが薄かったと思い当たった。
念のため強調しておくと、縦軸それ自体の面白さは確かだった。
ただ、話の縦軸を進めるためだけの話が展開され続けて、外連味が弱かったのが原因かもしれない。
外連味の弱さの一因となってしまったのが、敵の種類・数が少ないこと。
第二部はバトルが少なく、スーパー戦隊おなじみのロボ戦はかなり限られ、雑魚戦もあるにはあるけど印象に残らない。
もっと言うと毎話ごとのボス的(今週の怪人)がいないので、丁度良いタイミングで倒す敵がいなかったことも消化不良に拍車がかかる。
私はロボット戦がないことも人に言われてやっと気付くレベルでバトル感度が低いんだけど、イマイチだった理由を突き詰めて考えていくと「バトルがなかったから」だと思った。
厳密には、バトルがないことではなく、バトルがないことによって毎話ごとのメリハリやカタルシスが薄れたことが問題だった気がする。
webtoonなど、番組外の取り組みは高評価
テレビ番組の外の話をすると、本作はスピンオフがwebtoonの形でピッコマで連載された。
個人的にこれは、webtoonの形を取ったことも含めとても良い施策だと思います。
webtoon、いわゆる縦読み漫画は漫画経験がない人間でも読みやすいので、幼年層が触れるスーパー戦隊でwebtoon展開をしたのはかなりプラス評価。
キョウリュウジャーとのコラボ、もっふんといっしょの制作など、これまでにない展開に挑戦したこと、挑戦が好意的に受け止められていることは本作の強い魅力だと思う。
失速した、と言ってもいいのか
本作はアツさや勢いはそのままに魅力が減じており、非常に惜しいと感じる。
じゃあどうすれば良かったのかと言われると難しいところ。
もっと面白くできたはずというもどかしさも、作品の魅力の一つなのか…?面白かったけど手放しでは褒められない本作をどう考えるべきか、完結から一ヶ月経った今でも答えが出ない。